※画像はイメージです/PIXTA

相続税を現金で支払う代わりにモノで支払う「物納」は、厳しい条件をクリアしなければいけません。本記事では物納の要件と注意するべきことを解説していきます。

物納の要件…すべて満たさなければ物納は使えない

国は原則現金での納税を義務付けているので物納としてモノを納めるには、現金がないことを証明し、納税するモノが価値あるものとして認められる必要があります。

 

あなたが物納を使えるのか4つの要件を見ていきましょう。

 

(1) 延納によっても金銭で納付することを困難とする事由があり、かつ、その納付を困難とする金額を限度としていること

 

(2) 物納申請財産は定められた種類の財産で、定められた物納の順位であること

 

(3) 物納に充てることができる財産は、管理処分不適格財産に該当しないものであること及び物納劣後財産に該当する場合には、他に物納に充てるべき適当な財産がないこと

 

(4) 物納しようとする相続税の納期限又は納付すべき日(物納申請期限)までに、物納申請書に物納手続関係書類を添付して税務署長に提出すること

 

出所:国税庁-No.4214 相続税の物納「2 物納の要件」より

 

それぞれを詳しく見ていきます。注意としては一つでも当てはまらない要件があったら物納は使えません。

 

要件①延納によっても金銭で納付することを困難とする事由があり、かつ、その納付を困難とする金額を限度としていること。

『金銭による納付が困難な事由』とは、相続税の支払いをする現金が一切ないということです。よく間違いやすいポイントは“金銭”の範囲に、相続財産としての“金銭”だけでなく、相続人であるあなた自身が持っている固有の財産としての“金銭”も含まれるということです。

 

相続税の支払いから要件適用まで順序を追って説明すると下記のようになります。

 

1.相続した財産から相続税を捻出したけど支払えなかった

2.相続人個人が持っている財産(銀行にあるお金など)を支払う

3.延納を適用しても支払いが不可能

4.それでも相続税が支払えない

 

この時に初めて『金銭による納付が困難な事由』を満たします。

要件② 物納申請財産は定められた種類の財産で、定められた物納の順位であること

第1順位 国債、地方債、不動産、船舶

第2順位 社債、株式、証券投資信託又は貸付信託の受益証券

第3順位 動産

 

物納できる財産には優先順位があります。国は物納された財産を金銭に変換するので価値があり必ず相続税の支払いができるものを優先的に納めるように設定しています。

 

たとえば土地をもっているのに骨董品(動産)を物納することはできません。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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