※画像はイメージです/PIXTA

2度目のロックダウンが実施されたニュージーランドは、国民と政府が一丸となってコロナ抑制に努めています。一方、人々が自宅に閉じこもっても不動産業界は相変わらずの活況で、中古住宅の価格上昇が止まりません。どのような背景があるのでしょうか。オークランド在住で不動産会社を経営する筆者が、現地でしか掴めない不動産事情をレポートします。

市民と政府が一丸となり、コロナ禍脱却を目指す

一度はコロナを抑えることに成功していたニュージーランド。政府の素早い対策で世界にも名が知られ、本当にありがたいことだと思いながらも平和に暮らせていましたが、ロックダウンが長期化すると、経済は成り立ちません。

 

観光業界は、やっと国内旅行で潤いはじめた地域も出てきており、そしてなにより、次のクリスマスには開港するのでは…という期待があっただけに、今回のロックダウンは国民も動揺しました。

 

ニュージーランドの医療体制は、酸素呼吸の機械等の設備が充分ではありません。感染者が増えれば対応できないため、日頃から予防を強化し、なるべく感染を抑えるという方針で動いていました。

 

もし感染者が発見されると、速攻でロックダウンし、感染者数ゼロを目指します。また、ワクチン接種率も低いため、接種可能な会場を増やし、ワクチンも輸入し、接種率を上げるために、手を尽くしている最中です。

 

賛否両論はありますが、政府は人々の立ち寄り先をウォッチできるソフトも利用しています。人口が少ないぶんコントロールしやすいのもあるかもしれませんが、いざというときには行動を追い、感染拡大抑止に注力する、そんなきめ細かい対応がなされています。

 

今後、世界各国の動きを俯瞰しつつ、開港についてどう判断するか。これからがまさに正念場となります。

 

感染者ゼロは無理があるとは思いますが、国民ひとりひとりの意識を向上させることが、コロナ禍からの脱却につながっていくのです。

ロックダウン中もなお活況…NZ不動産業界の不思議

今回のロックダウンは2度目ということもあり、昨年の1度目よりは、心にも少し余裕があります。とはいえ、ロックダウン中は外出や対面での仕事ができないため、顧客との連絡は電話か、メールか、ビデオ通話のみ。実際の家に足を運んでの内覧は、もちろんすることができません。

 

しかし、週末にはオークションが迫っており、キャンセルするかどうか悩んだものの、Zoomによるビデオ通信でのオークションを開催しました。

 

すでに内覧会等を行い、買い手の考えが決まっていた物件についてはオークションが開催できましたが、一度も内覧会をしていない物件のオークション開催は厳しいので、営業を一旦中止したほか、新規の売り物件の情報公開は一時的に延期としました。

 

とはいいつつも、今回は興味のある方と条件付きで売買契約してみたり、オークションでの販売を予定していた物件も、条件付きでオファーを受け付けたり…といった対応を行っており、買い手にとっては、オークションで競い合うことがなくなったということで、ラッキーな流れとなっています。

 

家主様側は、オファーしてきた価格が期待値に達していれば契約書にサインするでしょうが、オークションで競い合ってもらえば、さらに高額での契約成立が狙えるので、どこまで欲張るかは考えどころです。

 

このように、不動産業者はステイホームしながらも、Zoom会議で社内的打ち合わせをしたり、顧客と通信したりして、売買が成立できるよう動いています。

 

完全に売買成立しなくとも、ロックダウン解除後に売買が成立するように、少しずつですが仕事を先へ進めているのです。

 

ただ、物件の引き渡し日が重なってしまうと、引っ越し業者も込み合って簡単には動いてもらえません。そうなると、お金の精算や清掃も延長せざるを得なくなるほか、テナントさんが住んでいる場合も段取りが大変になりやすく、それらが影響して、資金が目減りしたり、予算外の出費が発生したりといった、困った事態になりやすいのです。

 

これまで仕事で多忙だった投資家も、ロックダウンを機にネット検索して投資物件を吟味する時間ができている模様です。

 

筆者の会社も、電話は鳴り止まず、問い合わせのメールも次々に来ています。そんな状況でありながら、普段よりも落ち着いて話すことができ、契約手続きもスムーズに進むという、オンラインならではのメリットが享受できるのが、不動産業界の不思議で面白いところです。

 

とはいえ、「現場を見ないと買わない」という顧客も多いため、ロックダウン解除後には、さらに多忙な状況になりそうですが、やはり嬉しい悲鳴です。

 

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