(※写真はイメージです/PIXTA)

福岡ソフトバンクのエンタメビル「BOSS E・ZO FUKIOKA」、北海道日本ハムの「街づくり」など、各球団がこれまでにない新しい経営戦略に取り組んでいます。12球団の中でも、野球以外のエンターテインメントの分野で、他球団とは異なる特徴的な取組みを行っているのがオリックス・バファローズ。野球とエンタメのコラボが生み出す相乗効果を、オリックスの応援団「BsGirls」を例に見ていきましょう。

オリックスとBsGirlsの強大な「相乗効果」

発足した2014年(平成26年)。オリックスはソフトバンクとの激しい優勝争いを繰り広げた。そうすると、東も全く想定していなかった“取り上げられ方”をされたという。

 

「勝利の女神」

 

つまり、BsGirlsが来て、オリックスが勝ち始めたという図式だ。

 

「BsGirlsができて、バファローズが強くなった。絵に描いたようなストーリーになったんです。だから、一気に有名になったんですね」

 

メンバーには、300番台の背番号が与えられる。選手と同じユニホームを着て、試合中は応援のリードを取る。選手と同様に、個人のファンもつき始める。

 

そうした彼女たちのファンは、野球が主ではなく、メンバーが目当てだ。ドームに通うようになると、彼女たちのパフォーマンスをより近くで見たいと、グラウンドに近い、比較的高価な席のチケットを押さえるという。

 

メンバーの個人グッズも、新商品が出るたびに購入してくれる。

 

オリックスは試合中、5回終了後のグラウンド整備中に、BsGirlsのメンバーがスタンド前に並び、曲に合わせて、タオルを振り回すというパフォーマンスを展開した時期があった。

 

すると「タオルを回すようになったら、タオルが売れたんです」と東。

 

こうした傾向は、ファンクラブ会員がグッズ購入の際に提示する会員証のポイント付与のデータで、球団側もすべて把握している。

 

グッズの権利などは、すべてオリックスにあるのだという。

 

エイベックス側は、メンバーのマネジメントだけ。しかし、それでも「あの子たちの人気が出て、CDが売れれば収益が出るんです。成り立つのは成り立ちますね」と東。実は関西のエイベックスでは「優良アーティスト」に位置づけられる存在なのだという。

デビューシングルはオリコン24位、関西では1位の実績

大阪市西区にある「オリックス劇場」は、かつての大阪厚生年金会館を改築、収容人数は2400人だ。そこで単独公演を打つと「パンパンになる」と東は証言する。

 

「球場に来ていただいたら、やっぱり、CDとかが売れるんですよ」

 

仰天のエピソードがある。オリコンのカウントは、今は行っていないというが、30位以内にCDの売上が入るとオリコンに名前が載るのだという。それは、アーティストにとっても勲章だ。

 

2014年(平成26年)7月に、ファーストシングルを発売したとき、東は「30位以内に入ったら、全員に焼肉おごってやるよ」と豪語したという。

 

「僕の中では、入ると思っていなかったんです」

 

激励を込めての提案だったが、これがなんと、最高24位まで浮上したのだ。しかも、関西では1位に輝いたという。

 

肝心の野球の方では、1996年(平成8年)に日本一に輝いて以降、完全に遠ざかっている「1位」の座を、BsGirlsの方が先に取ってしまったのだ。

 

というわけで「全員、焼肉に連れて行かないといけなくなりました。食い放題のところでしたけど、貸し切りにしました」。

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喜瀬 雅則

PHP研究所

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