(※画像はイメージです/PIXTA)

生涯雇用の神話が崩れ、「個人でいかに資産形成をするか」で老後の人生が変わる時代となりました。しかし、他業種と比べて高収入の職業ともいえる医師の世界では、自分には無縁と考える人も。とくに若い世代では、もう少し歳をとってからでも遅くはない、というスタンスの人も多いようです。

年収1000万円超え…「世間から羨望のまなざし」だが

従来、世界的に医師免許を持つ人というのは、とても希少でした。それゆえ、今の収入をあげたいと考えたときには、条件のいい医療機関へと転職すればよかったのです。また、人材不足だったこともあって、転職のハードルはとても低いものでした。

 

ところが近年、医師の数も増えたこともあり、患者は簡単に治療を受けられる時代になりましたが、医師の転職という視点で考えると、それ自体は難しいものへと変化してきています。

 

こうした状況下で、50代の半ばを過ぎた医師からの転職相談というものが増えてきています。その理由のほとんどが収入減によるもの。どの業界においてもそうですが、人は歳をとるにつれて体力が落ち、自分のいたポストを後進に譲って世代交代をします。医師の世界も同じであり、若手の数が多ければ多いほど、いくら腕が良くても胡坐をかいて座っていることはできません。

 

かつては医師や弁護士の資格があれば、一生食べていけるといわれている時代がありました。とくに医師は、30代半ばで年収1000万円以上という高額収入を得ることができる職種として、世間の憧れでもありました。

 

これは厚生労働省の『平成28年 賃金構造基本統計調査』のデータからもわかります。本調査によれば、医師の平均年収は仕事を始めた頃は年収400万円程度。25歳で600万円、30歳で800万円、そして35歳でついに1000万円の大台を超えます。50歳になったときには1400~1700万円まで昇り詰め、世間の羨望のまなざしを集める収入ともいえるでしょう。しかし、上昇するのはここまでであり、50代以降は横ばいになってしまいますさらに55歳をすぎると、逆に下がり始めてしまうのです。

30代こそ資産形成を始めるベストなタイミング

どの業界でもそうですが、医師の世界でも30代になると、覚えた仕事の量はかなりのものになってきます。その結果、自分のペースで働くこともできるようになり、収入も上がってくる時期です。収入があがると、貯蓄も増え始め、生活にも余裕が持てるようになります。

 

銀行に預けて利子を得るという時代は、すでに終わりを告げました。仮に今30歳として、年収が下がる55歳までの25年間、銀行に預けていても、利子はゼロに等しいような金額です。これは資産が増えないということを意味しています。

 

この25年間を、資産形成に費やしてみたら、きっと未来は変わってきます。資産形成を始めるのは早いほうがいい、というのは、こうした意味合いもあるのです。働きながらも金融セミナーに参加したり、すでに資産形成を実践している知人からアドバイスを受けたりするなど、得られる知識を増やすことが大切でしょう。

 

ただ、医師に限らず、働きながらもその業界について勉強をしなければならないことも事実です。残念ながら時間というのは限られており、これは誰もが同じ条件のなかで生きています。

 

求められるのは効率的な時間の使い方。生活にひと工夫してみてはいかがでしょうか。

 

これまで勉強に費やした時間を100とするなら、そのうちの20、つまり2割を資産形成のための勉強に費やしてみるのです。そして、その投資が儲かる理由や潜むリスクを自ら判断できるようになれば、もはや怖いものはないでしょう。

 

ただし、投資話のなかには危険もたくさん潜んでいます。なかでも怪しげな投資話というのは、うまい儲け話を装って近づいてくるというもの。こうした危険を見抜くことは、非常に難しいものです。

 

回避するためには、プロの力を借りることがベスト。たとえば不動産や保険会社、ファイナンシャルプランナーといった幅広い業種と連携している会社をパートナーとして選び、確実な資産運用を行うことが安心と言えそうです。

「忙しくても資産運用できる投資」を選ぶ

世間には、さまざまな種類の資産形成の手段が存在しています。預貯金もこれに含まれますが、代表的なものとしては、株式や債券、投資信託、外国為替などが知られています。ただ、毎日を激務に追われ、手間がかかってしまう資産形成の方法では本末転倒です。そういう意味では、医師のように時間がなかなか作れないという職種の方には、不動産投資の持つ性質が、理想的かもしれません。

 

まず不動産投資の特徴として、変動が緩やかである、ということが挙げられます。デイトレーダーのように、瞬間的な変動で動きを決めるわけではないため、投資に縛られることもないでしょう。これは、仕事の邪魔にならない、ということにつながってきます。同様に、家賃や建物自体のメンテナンスは不動産管理会社に任せることができます。専門会社に任せられるということは、仕事に集中するためにはとてもいい条件であるといえるでしょう。

 

他にも、家賃から得られるインカムゲイン、高収入ならではのメリットといえる所得税や相続税などの節税効果、物件売却で得られるキャピタルゲインなど、不動産投資には多くのメリットを期待することができます。

 

自分はまだ若いし、所得に満足しているので歳をとってからで十分、などと考えていると、魔の55歳はすぐにやってきます。自分を取り巻く環境も、独身で悠々自適だった今のまま、55歳を迎えている方はそう多くはないでしょう。所得が下がり出して慌てる前に、資産形成について考える必要がある、といっても過言ではないのです。
 

 

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