(※写真はイメージです/PIXTA)

営業はランチのみ、どんなに売れても1日100食限定と、従来の業績至上主義とは真逆のビジネスモデルを実現する京都の国産牛ステーキ丼専門店『佰食屋』。経営計画や個人目標を撤廃した佰食屋で起こった従業員の変化を見ていきます。※本記事は『売上を、減らそう。たどりついたのは業績至上主義からの解放』(株式会社ライツ社)から一部を抜粋・再編集したものであり、本文中の店舗情報は現在と異なる場合があります。

「売上目標」は邪魔…数値目標をなくして起こったこと

従業員が売上から解き放たれたことで、佰食屋には、従業員発信のさまざまな改善が生まれました。そして、そのアイデアは、「売上を上げること」よりはるかに高次元の「お客様の満足度」を引き上げるアイデアでした。

 

たとえば、整理券配布制度。

 

最初にわたしがはじめたときは、「30分ごとに15名ずつご案内する」と決めていました。けれども2店目のすき焼き専科がオープンしてオペレーションをはじめたところ、「30分ごとに20名、10名と、交互にご案内したほうがいいのではないか」という意見が出たのです。

 

たしかに、食事のスピードは人それぞれ。食べるのが特に遅い方がいらっしゃると、次のお客様を少しお待たせてしまうか、食事されている方を急かすことになってしまいます。また、厨房の業務スピードやごはんを炊く時間のことを考えると、たしかに理に適っていました。

 

実際にその方法を取り入れたことで、お客様をお待たせしたり、急かしてしまうことが減り、ゆとりを持ってご案内できるようになりました。

 

これが「売上を伸ばす」アイデアという視点だと、どうだったでしょうか。

 

もしかすると、お客様の食事のスピードに関係なく、「とにかく数を」といった施策が生まれてしまっていたかもしれません。

 

働くなかで、「本当はこうしたほうが効率がいいのに」「この工程は無意味なのでは?」と違和感を持つことはたくさんあると思います。でも、心に余裕がなければ、多くの人は与えられた業務をこなし、ギリギリに設定された目標値をクリアすることに精一杯です。「そう決まっているからしかたない」と受け流してしまうでしょう。

 

その小さなモヤモヤが、長い目で見たとき、仕事の効率を下げ、作業の妨げとなってきます。できるだけみんなが楽しく、ストレスなく働くために、目の前のお客様に喜んでもらうために、「売上目標」はじゃまなのです。

 

佰食屋では、従業員が「お客さんが来ない。どうしよう」と不安になることはありませんし、「メルマガでなにかお得なお知らせを書かなきゃ」「映える写真をアップしなきゃ」と悩むこともありません。「どうしたら、もっといいお店になるだろう?」「どうしたら、お客様に喜んでもらえるだろう?」と考えるところからスタートできるのです。

 

佰食屋のメニューがいまのように4ヵ国語対応になったのも、そこが始まりでした。

 

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売上を、減らそう。たどりついたのは業績至上主義からの解放

売上を、減らそう。たどりついたのは業績至上主義からの解放

中村 朱美

ライツ社

各メディアで話題沸騰中の「佰食屋」店主、初の書き下ろし著書。 ・ランチのみ、の国産牛ステーキ丼専門店 ・どんなに売れても、1日100食限定 ・営業、わずか3時間半 ・インセンティブは、早く売り切れば早く帰れる ・飲…

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