「いち従業員」のアイデアが売上の40%を呼び込んだ
西院店の近くには、外国人向けの日本語学校があり、あるとき、その学生が来店してくれました。その学生はどうやら韓国の方で、言葉の通じないわたしたちに、英語と日本語、身振り手振りでオーダーしてくれました。
そのとき、のちに店長となるYさんがおもむろに携帯で検索をはじめました。「韓国語で話しかければ喜んでもらえるのではないか」と思ったのでしょう。
そして「マシッケ トゥセヨ(ごゆっくりどうぞ)」とステーキ丼をお持ちすると、とても喜んでくださいました。そしてしばらくしてまた、ステーキ丼を食べにきてくださったのです。
これをきっかけに、Yさんを中心に外国語の勉強会がはじまりました。英語に、中国語に、韓国語。「みんなが4ヵ国語でステーキ丼の説明ができるようになること」を目指しました。それに合わせて、メニューも4ヵ国語対応につくり変えたのです。
いまでは3店舗どのお店でも、4ヵ国語対応のメニューを使い、外国の方をご案内できる従業員がいます。そのおかげで、全体の40%近くが海外からのお客様です。いまや佰食屋を大きく支える海外からの観光客を呼び込んでくれたのは、いち従業員からはじまった、「目の前のお客様のための行動」がきっかけだったのです。
それにしても、面接で「目を合わせられないほど」緊張して、話すのが苦手だったYさんが、外国の方とのコミュニケーションに力を発揮するなんて、意外でしょう? けれども佰食屋では不思議なことに、たびたびこんなことが起こります。
そして、店長やエリアマネージャーにステップアップする人が出てきています。あるいは、ほかの会社に「優秀な人材」として転職を果たす人もいます。実はYさんもその一人で、佰食屋で5年間勤め上げた後、いまは退社して、彼女の夢だった独立に向かっているのです。
佰食屋は、これまでの暮らしで疲れた人、傷ついた人が羽根を休めるような場所。「やらなくてはいけないことに追われる」毎日から、「やりたいことができる」毎日へ。
時間と心の余裕を取り戻すことで、その時間の尊さ、なに気ない毎日を送れることのありがたさを感じることができる。これからの生き方、働き方をじっくり考えることができる場所です。
その結果、佰食屋を卒業することになっても、わたしたちは「おめでとう」と心からエールを贈ります。
中村 朱美
株式会社minitts
代表取締役
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