コロナ禍により「デジタルシフト」が加速
2020年、世界中に蔓延した新型コロナウイルスの感染拡大は、それまで進行していた社会の変化を一気に加速させました。
とりわけ、日本で顕著に現れたのが、デジタルシフト、いわゆるDX(デジタルトランスフォーメーション)の波です。先進国のなかでも日本はDXが遅れていた分、さまざまな分野で対応が求められました。
多くの企業で、テレワークによるリモート勤務が始まり、会議もWeb会議やビデオ会議が行われるようになりました。私が講義をしている多摩大学でも、ゴールデンウィーク明けの2020年5月から、オンライン授業が開始されることになりました。
システムとして採用したのは、Web会議システムで世界トップシェアのZoomです。IT企業各社が提供するWeb会議サービスが各種あるなかで、Zoomは世界中で注目を集めて、企業・団体の有料契約が大幅に伸び、運営する米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズの2021年1月期通期の売上高は26億5136万ドルと前年同期比4.3倍、純利益は31倍の6億7152万ドルになりました。
Zoomを使った授業では、私は春学期は学内のスタジオからオンラインで講義を行い、秋学期は大教室で学生を前にした講義を行い、他の学生にはオンラインで講義の様子を流す形をとりました。
オンライン授業を行う際、教員および学生たちが見る画面上に学生の顔は映し出さない方式をとるケースが多いのに対し、多摩大学のオンライン授業の特色は、出席する学生全員が顔出しする方式を採用したことでした。
画面上には、100〜200名の学生の顔と名前が映し出されます。この光景を見て、私は世のなかのデジタルシフトは、次のフェーズへと進化したことを確信しました。