あらゆるトラブルを想定したウェルカムガイドを作る
前回紹介したような、高度な英語力が要求されるゲストとのトラブルを未然に防ぐ手段として、「ウェルカムガイド」の活用があります。ウェルカムガイドとは、旅行中のさまざまな案内について、主に英語でまとめた冊子のことです。作成は義務ではありませんが、リスクヘッジのためにも必ずつくっておくことをお勧めします。
ガイド内容には、次のようなものが含まれます。
●空港から最寄り駅までの行き方、最寄り駅から物件への行き方
●鍵の受け取り方
●鍵の返し方
●付近のATMの情報
●室内の給湯器や冷暖房の使い方
●両替の情報
●基本的な電車の乗り換えの方法
●英語対応のタクシー会社の情報
●近隣のお勧め店のマップとコメント
●英語対応の緊急連絡先
●トラブル対応について
ガイドはゲストと連絡が取れなくなった場合にも役立つ
特に重要な項目について説明しておきましょう。
①最寄り駅からの行き方とチェックイン方法
最寄り駅から物件までの行き方です。また、物件に到着後、チェックインする際にどうすればいいのかを案内します。
ここで重要なのは、居室の鍵をどうやって渡すかです。お勧めは、キーボックスを使った鍵の受け渡しによるチェックインです。キーボックスの4ケタの暗証番号をウェルカムガイドに書いておくことで、オーナーが行けなくても自動でチェックインができます。
キーボックスがいいのは、手間の短縮もさることながら、実はリスク分散になるという理由もあります。
鍵の手渡しは、むしろ危険です。もしゲストと連絡がつかなくなったときに対処ができなくなるからです。たとえば飛行機が遅れて予定が狂ったときや、モバイル機器の不調でネットの環境が繋がらず電話も使えないとなったときなどに、ゲストとホストで連絡が取れません。
そういう事態を避けるためには、あらかじめゲストに渡す冊子の中に、文章と写真で伝えておくと安心です。また、キーボックスが何かの拍子で開かないという恐れもありますので、キーボックスはできれば各物件に2個設置しておきます。
チェックアウトの仕方についても同様に、ウェルカムガイドに記載します。何時までにチェックアウトしてほしいとか、水道の蛇口や電気のスイッチの確認をしてくださいなど、チェックアウト時のチェックリストを載せておけば確実です。
②室内設備の使い方
滞在中の室内設備の使い方についても説明が必要です。Wi–FiのIDやパスワードと設定の仕方、エアコンとかランドリーの使い方のほか、物件の室内では靴を脱ぐ、夜は静かにするなどのハウスルールも記載します。
また、滞在中に急遽知り合いを部屋に招いて泊めたいという場合、無料ではなく追加で1泊2500円かけるなどの金銭的なルールも記載しておきます。金銭的なルールはAirbnbのリスティングページであらかじめ設定しておくべきことですが、ウェルカムガイドにも念のため書いておいて損はありません。
③付近のお勧めスポット
物件の近辺についての情報を充実させることも大切です。近くにあるお勧めのカフェやレストラン、こだわりの本屋さんなど。外国人のゲストが知らなさそうな、あまり観光地らしくないスポットを紹介すると喜ばれます。
④トラブル対応について
宿泊中の怪我や病気などトラブル時にすぐ助けを呼べるよう、英語で対応してくれる消防、警察、病院などの各種ホットラインの番号も記載します。
以上が主なウェルカムガイドの内容になります。基本的な考え方としては、ホストがいなくてもゲスト自らで全部解決できるように、ガイドに記しておくということです。
「ここまでやるのか」と思われるかもしれませんが、ホストは本来、ここまでつくるべきだと思います。仮にホストに何かあって連絡がつかなくなったときに、ゲストが迷惑を被ることを避けるリスク対策として役立ちます。
逆に言うと、ウェルカムガイドをしっかりつくり込んでおけば、仮に連絡が取れなくなってもなんとかなるため安心です。