(※写真はイメージです/PIXTA)

沖縄で小さな診療所を経営し、診察にあたっている望月さんには、後悔がありました。それは、きちんと離婚せず、一方的に世田谷の自宅を飛び出してきてしまったことです。そのために、望月さんは、夫が亡くなったさいに「争族」に巻き込まれるはめになってしまいました。医師ゆえの多忙さにかまけてしまったその結末は…。

 

それを聞いて怒ってしまったのは義姉です。自分が生まれ育った家を売却すると言われ、激怒。本来なら、A、B、C、Dの持ち分をお金に換算し、彼女らに支払って義姉が住みたいところですが、自宅は世田谷区にあるために、評価額が非常に高く、義姉には支払うお金がありません。

 

結局話はまとまらず、家庭裁判所に持ち込まれ、現在も係争中となっています。彼女は、「人生の後始末もしないで、沖縄での生活に逃げていた自分に罰が下った。きちんと離婚手続きをしておけばよかった」と、私たちコンサルタントに会うと、後悔の念を今でもこぼします。

相続人登記のルールが変わる

今までは、相続が発生した場合、土地・建物の名義変更をいつまでにしなければいけないといった期限はありませんでした。そのために、名義変更をしない人は案外多く、何かのきっかけで、名義変更をしようとすると、お金や時間がかかるだけでなく、人間関係がこじれでしまい、絶縁状態になったり、裁判になったりする可能性が高いです。

 

身内を相手に裁判を起こしてしまうと、問題が解決しても、人間関係は修復できる人は、まずいません。争い事をさけるためにも、相続が発生したら、すぐに不動産の名義を変えるようにしてください。

 

令和3年4月21日に所有者不明土地問題を解消するための関連法が、国会で成立しました。この法改正によって、土地や建物を相続したことを知った時から3年以内に相続登記することが義務化されます。怠った場合は10万円以下の過料が科せられることになります。相続登記の義務化は公布後3年以内(2024年・令和6年まで)に施行されます。また、相続した望まない土地の国庫納付の制度も令和5年をめどに導入されます。

 

名義変更を早期のうちに行わないと、相続人が増えて、「遺産相続争い」になる可能性が高くなりますし、第三者からみたら、誰が不動産を相続したか分からないので、不動産を担保にして金融機関からお金を借りることもできません。悪いことはあっても、良いことは起こりませんので、早めの対応をおすすめします。
 

 

 

 

※本記事で紹介されている事例はすべて、個人が特定されないよう変更を加えており、名前は仮名となっています。

 

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