写真:スコピスト(手術中のカメラ持ち)としての役割を担うNP

医師の数に対して患者数が増えすぎると、診療が行き届かないという事態が起きる。重篤な症状を抱えた患者であれば、危機的状況となる。そんな現場での活躍が期待されるのが、「NP(Nurse Practitioner)」だ。いったいどれほどの範囲での対応が可能なのか。実際に藤田医科大学病院でNPとして活動する永谷ますみ氏に、働き方改革が進むなかでの問題点などを含めて詳しく紹介してもらう。

タイムリーな治療介入ができるのなら…と

どうすれば適切なタイミングで治療介入ができるのかと考えたが、結局多くの問題は解決しないまま過ぎていった。そんな中で、私が勤務している大学病院に隣接する医療科学部の大学院にNP養成コースが開講されることを知り、看護師として少しでもできる医療行為や医行為が増えれば、患者さんによりタイムリーな治療介入ができるのではないかと思い、その1期生として入学を決意した。

 

大学院修了後の1年目は、多くの急性期の診療科をローテート研修し、2年目以降は興味のある診療科を重点的にローテートして、4年目に最も興味のあった心臓血管外科に固定配属となった。

FNPについて

藤田医科大学病院では2014年から特定行為研修修了看護師(Fujita Nurse Practitioner:藤田診療看護師、以下FNP)が活動を開始し、現在25名が中央診療部に在籍している。FNPとして当院で勤務するには以下の3点を満たす必要がある。

 

①NP養成大学院(2年間)を卒業

②特定行為21区分38行為すべてを実施することができる

③日本NP教育大学院協議会が実施するNP資格認定試験に合格

 

大学院卒業後は臨床でのFNPとしての経験を積むため、1~2年目は各診療科でのローテーション研修で幅広い技術と知識を学び、3年目以降は希望する診療科に固定配属とした。現在では心臓血管外科、消化器外科、麻酔科、救急総合内科、脳神経外科、循環器内科などの診療科で活動している。

手術中に助手を務めることも

FNPは看護部から独立しており(院長直轄)、各診療科の医師とともに行動することが多く、活動のフィールドは外来から病棟・手術室・ICU(集中治療室)・HCU(ハイケアユニット)などと幅広く、入院から退院までの患者管理をシームレスに行っている。各診療科がFNPに求める役割は異なるが、当院では2年間の大学院教育がベースにあることから特定行為のみの医行為にこだわらず、医師の直接指示下でより深く治療に関わることができている。

 

例えば、ER(救急外来)では初期研修医と同様に上級医の指導のもと患者の診療にあたり、問診や身体所見からアセスメントをした上で、各種検査や点滴のオーダーを代行入力で行い、専門科へのコンサルトまで行っている。また手術室では、手術時の体位作成や消毒、第一助手やスコピスト(手術中のカメラ持ち:写真)としての役割なども担っており、FNPが手術野に入ることで手の空いた外科医は他の患者の治療に専念することが可能となる。

 

麻酔科では、麻酔科医とともに麻酔の補助業務からICU管理まで幅広く治療に関わっており、時には院内で発生した入院患者の急変対応チームにも参加するなど、FNPの働き方は様々である。

 

 

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