【関連記事】「600万円値引きします」…住宅の概算見積書が恐しすぎるワケ
「訪問営業」は悪質業者の可能性大
外壁塗装は、「これほど手抜きしやすい工事はない」といわれているほど、悪質業者が数多く存在することでも知られています。外壁塗装というのは、素人には塗料の種類や工事の内容が分かりにくいので、悪質業者はその知識の差に付け入って、依頼者にとって不利な契約を結ばせようとしてくるのです。
ここで必ず覚えておきたいのが、訪問で営業をしかけてきた外壁塗装業者とは安易に契約を結んではいけないということです。訪問営業をする理由はズバリ、営業をしなければ客が集まらないからです。
しつこい営業をかけてくる営業マンはどの業界にもいるものです。突然訪問してきて、一方的に「外壁塗装をしたほうがいい」と煽られるのはあまり気分が良いものではありませんが、何度断っても熱心に通ってくる営業マンの姿に、断り切れなくなってしまうこともあるかもしれません。
そこで、まずはどうしてしつこい営業をかけてくるのかについて説明します。理由が分かれば押し切られてはいけないことが分かり、適切な判断を下せます。
正当な方法では依頼が集まらないから
しつこい営業をかけてくる業者には気を付けたほうがいいケースがほとんどです。
最近ではインターネットを通じた顧客の獲得を行ったり、口コミで評判になって依頼が増えたりすることが珍しくありませんが、そうした方法で依頼が集まらないからこそ、しつこい営業をかけてくるのだと判断できるからです。
なぜ正当な理由で依頼が集まらないのでしょうか。それは工事の質が悪いためです。適正価格で施主が満足する工事を行っているなら自然と依頼が集まるもの。そうでないからこそ、依頼を取るために必死になるのです。
訪問業者は「ぼったくり」で「手抜き工事」のリスク大
訪問業者の多くは一般よりも高額な価格を提示してきます。それは、訪問された側が、その価格が高いのか安いのかをその場で判断できないまま申し込んでしまうからです。外壁塗装においても、このようなことが起こらないよう、1つの業者で決めてはいけません。特に訪問業者には注意が必要です。
そもそも訪問営業をかけてくる業者が塗装工事をするとは限りません。訪問営業をかけて工事の受注が取れたら、契約金のいくらかをマージンとして受け取って下請けに回すことがあります。この場合、元請け業者は営業だけで利益を出すことができます。
しかし、下請けはすでにマージンが抜き取られた少ない契約金のなかから利益を出さなくてはいけません。そのため、塗料を薄めたり、塗装回数をごまかしたりして単価を安くしようとする場合もあります。
訪問営業で契約が取れれば取れただけ元請け業者は儲かる訳ですが、下請け業者は儲けを出すために必死です。そのため、訪問営業で塗装工事の契約をすると、手抜き工事を行われるリスクが高まってしまうのです。
訪問販売のこんなトークには要注意!
訪問販売に関連したトラブル件数は年々増えています。例えば、2020年度、独立行政法人国民生活センターが運営しているPIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)に寄せられた「訪問販売によるリフォーム工事」に関する相談は、1日あたり20件以上もありました(図表1)。
しつこい営業を仕掛けてくる業者すべてが悪質業者という訳ではありませんが、訪問販売の塗装業者に悪質なところが多いのは事実です。その手口は、言葉巧みなセールスです。次のようなセールストークには注意が必要です。
「今キャンペーン中で…」
「キャンペーン中」という言葉を持ち出してくるセールストークは危険であることは覚えておいてください。
訪問販売で相手の関心を集めるには「期間限定」や「セール中」など、「今だけお得になる」という情報をアピールすることが常套手段として使われます。その典型例がキャンペーンです。特典や値引きを持ち出して「すぐに契約すれば得できる」または「いますぐでないと損をする」気持ちにさせて契約を急がせようとしてきます。
「弊社の塗装のモニターになってくれるなら工事費を半額にできる」などのセールストークも危険なので注意してください。
「すぐに補修しないと大変なことになります」
「すぐに補修をしないと大変なことになる」と不安を煽って契約に結びつけようとするのも常套手段といえます。
外壁や屋根は数年をかけて徐々に劣化していくものです。そのため、たった数日そのままにしたからといって状況が劇的に変わるようなことはまずありません。大げさな表現を口にして不安を煽ってくる場合、契約を急がせようとしてくる心理が隠されているのです。セールストークを真に受けず、冷静に考える必要があります。
「今日決めてくれれば半額でやります」
「今日決めてくれるなら半額にする」などの大幅な値段交渉を信じるのも危険です。塗装工事の費用は材料費や足場代、職人の工賃などから見積もりが出されます。それを大幅に値下げできるはずはありません。
もしできるとしたら、大幅に値下げしても利益が出るような金額設定になっている恐れがあります。半額になっているように思わせて、実は相場以上の値段設定になっていることもあるので気を付けてください。
「この塗料を使えば、再塗装の必要がありません」
技術や塗料の性能について、大げさなアピールしてくる場合も危険です。「当社オリジナルの塗料を使えば、塗装回数を減らすことができるので費用を抑えられます」というセールストークもよくありますが、一般的に流通している大手メーカーの塗料は品質が安定しているうえ、大量生産できるため単価も低い傾向があります。あえて業者の「オリジナル塗料」を選択する必要はありません。あまりにも大げさな表現が出てきたときは疑ってみてください。
輿石 雅志
株式会社ドアーズ 取締役社長
外壁診断士、外壁アドバイザー
2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】