「イメージどおりの色なのに、しっくりこない」の原因
外壁塗装を行った結果、「イメージどおりの色で塗ったのに、なぜかしっくりこない」というもやもや感を抱いてしまう人は少なくありません。単に好きな色で塗ればそれでOK…とはいかないのが、外壁塗装の難しいところです。まずは、仕上がりの色がしっくりこない原因を見ていきます。
●周囲の景観とのギャップ
例えばビタミンカラーのような鮮やかな色が好みでも、歴史のある落ち着いた街並みに建っている住宅の外壁をその色で塗装するとかなり浮いてしまいます。反対に、明るい外壁の住宅が多い街並みのなかで1軒だけシックな落ち着いた色の外壁にするのもやはり浮いてしまいます。
●塗装できない部分との相性
外壁塗装を施しても、住宅の外観すべてが同じ色になる訳ではありません。玄関や窓枠に使われるアルミ製品は塗装できないのです。アルミ製品は白、黒、銅色などが多く、イメージしている外壁の色との相性が悪いと、せっかく外壁をイメージどおりの色に塗っても納得のいかない仕上がりになってしまいます。外壁以外のパーツにも色を乗せられるシミュレーションを利用して、細かいところまで配色をチェックする必要があります。
●使う色が多過ぎる
最近は外壁を2色で塗るツートンカラーも人気です。違う色で塗り分けられた外壁は、個性もあっておしゃれですよね。しかし、もっとたくさん色を組み合わせたらもっとおしゃれになるかというと、そういう訳ではありません。業者に頼めば2色以上塗ることはできますが、追加料金が必要になる場合もありますし、何より色のバランスが崩れて「目にうるさい」外壁になってしまいます。塗装できない部分の色も入れるとかなり色数が増えてしまうので、外壁の配色は2色までにとどめるのが無難です(【写真を見る:最近の人気色&おしゃれなツートン】)。
「色選び」の大失敗を避けるポイント
自分の家の色は、好みに応じて選んでいくのが基本です。ただし、選択する色によっては、あなたの家だけがご近所で異様に浮き上がってしまうことにもなりかねません。これが服ならコーディネートを変えれば済みますが、住宅となると簡単に変えられない場合がほとんどです。うまくほかの色と調和できるように、以下、外壁の色を決めていくうえで大きな失敗を避けるために押さえておきたいポイントを紹介します。
●汚れが目立ちにくい色を選ぶ
せっかくお気に入りの色に塗ったのに、時間が経つとあちこちが汚れ始めた…とガッカリしないためには、汚れが目立ちにくい色を選ぶことが大切です。
外壁は風雨やホコリにさらされているため、塗装する色によっては汚れが目立ってしまいます。主な汚れの原因はホコリですが、それらが外壁をどんな色に変色させるのかを知っておくと、それが目立たない色を選択できます。自宅や近隣の家を観察してみてください。
●近隣住宅を見て回る
街並みや景観に合った色を選ぶことも大切です。とはいえ、それがどういう色なのかを判断するのはなかなか難しいかもしれません。そんなときは、お散歩などをしながら10分ほど近所の住宅を見て回ってみるのがオススメです。近所の住宅や街の雰囲気を知っておくことは、外壁塗装をするときに意外と重要です。周囲の様子に気を配らないまま外壁塗装をしてしまうと、その住宅だけを見たときにはきれいな仕上がりでも、近所の住宅と一緒に「街の風景」として見たときに浮いてしまっていることがあるためです。多くの人の目に触れる住宅の外壁だからこそ、ご近所との調和は大切にしてください。
●景観ガイドラインを参照する
古くからの景観を守るために、景観条例を定めている自治体もあります。京都の街では、全国にあるコンビニでもロゴや店舗の外観を通常のものより落ち着いた色味にしています。これは景観条例で、街の雰囲気になじむ色を使うように指定されているためです。景観条例の対象となるのは店舗や公共施設のほか、高さが10m以上、延床面積が300m2以上の建物であることが多いので、一般的な住宅が規制されることはあまりありません。
しかし、自宅が景観条例の指定区域に入っている場合は、周囲になじむ外壁塗装を心がけたほうが結果的に長く愛着をもてる仕上がりになります。ちなみに、自宅が景観条例の指定区域に入っているかどうかは、自治体のホームページで簡単に調べられます。
また、具体的に地域に適合する色を知るための手段の1つとして、お住まいの地域の自治体がまとめている「景観ガイドライン」を確認することが挙げられます。例えば札幌市では、「景観を形成するうえで色彩が果たす役割は大きく、街の印象を左右する建築物等の色彩は、街並みに調和や一体感などを与える手段として効果的」として、ネットから資料をダウンロードできるようにしています。多くの自治体で同様のサービスを提供していますので、参考にしてください。
●カタログ上の色見本だけで判断しない
塗料メーカーのカタログには色見本が載っていますが、1つひとつが小さいので注意が必要です。実は、色は面積によって見え方が変わります。これを「面積効果」といい、面積が大きいほど明度が高い色はより高く、明度が低い色はより低くというように、その色の特徴を強く感じられるようになります。気になる色があったら、その色の塗料を実際に塗ったA4サイズの塗り板を手配してもらい、この大きさで見てもイメージと合っているか確認してください。
また、実際に試してみると分かりますが、太陽光と蛍光灯の下では色の見え方がずいぶん違うため、外壁を見る環境で色を確認することが重要です。夜や雨の日などにも屋外で確認するといっそう実感が湧くものです。
塗り板の色見本を壁に当てて確認することも効果的です。こうすることで、現在の外壁の色からどのように印象が変わるのかよく分かります。壁に当てるときには近くからも遠くからも見て、近景と遠景の両方のイメージを把握してください。
●カラーサンプルの見方・使い方を解説!
実際にカラーサンプルの現物を見てみると大量の見本がずらりと並んでおり、いささかひるんでしまうかも知れません。希望のカラーについてはイメージしてきたものの、似たような色がいくつもあって選べない…ということもありがちです。
カラーサンプルには種類がいくつかありますが「日本塗料工業会」の見本帳には国内メーカーほとんどの商品の色指定に使えるサンプルがあります。それぞれのカラーの下に記載されている文字や番号には様々な意味があり、それを理解することでカラーを数値化してイメージできるので便利です【図表】。
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◆図表の左下:日本塗料工業会の色番号
・発行年記号…見本帳の発行年を示している
・色相区分…基本4色(RYGB)の色相を示している
・明度区分…数値が大きいほど高い
・彩度区分…アルファベットXに近いほど高い
◆図表の右下左側:マンセル値
「色相」「明度」「彩度」という色の三属性を記号と数字で表している
・色相…左端の数字とアルファベットで表示(無彩色はアルファベットNのみ)
・明度
・彩度 ※明度と彩度は数字が大きいほど高い
◆図表の右下右側:トーン
明暗、濃淡、強弱などの色の調子を示している
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輿石 雅志
株式会社ドアーズ 取締役社長
外壁診断士、外壁アドバイザー
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