「屋根・外壁の傷み」は住宅トラブルの元凶
念願のマイホームを手に入れて喜んでいられたのもつかの間、住宅をめぐるトラブルが後を絶ちません。住宅に起こるトラブルは、そのほとんどが屋根や外壁の傷みによるものです。調査をしてみると、小さなひび割れや塗装の剥がれが原因だった…というケースが実に多いのです。
外壁は住宅のなかでもとくに目に付きやすい場所ですが、傷や汚れがあるのを気にしながらも「まだいいか」と放置している人は少なくありません。実は、外壁は知らない間にトラブルが重症化していることも多い場所です。雨漏りなど、目に見える症状が現れてから外壁塗装を行ったら、さまざまな部位の施工が必要になり、想定外の費用がかかってしまったということもあり得ます。
耐震性ダウンやシロアリ被害を招く「外壁」の劣化症状
まずは、外壁に現れる劣化症状の事例を見ていきます。ご自宅の外壁に該当するものがあったとしても、「明日にも工事を始めなくては…」と焦る必要はありませんが、放置するのは絶対にNGです。できるだけ早く対処する必要があります。
症状ごとに緊急度の高さも解説しますので、心当たりがあるものがあれば、対応を検討してください。
【ひび割れ】
クラックとも呼ばれるひび割れ(写真1)は、塗装のみが劣化している場合もあれば、乾燥による外壁材の縮みや、地震などの衝撃によって引き起こされているものもあります。ひび割れの幅や深さで、深刻度をチェックします。
●幅が0.3mm以下
⇒髪の毛のように細く見える「ヘアークラック」は、塗装が劣化しているだけであり、緊急性は高くありません。ただし、そこから塗装がどんどん剥がれてしまう可能性もあるので、タイミングを見て塗装し直します。
●幅が0.3~1mmほど、深さが4~5mmほど
⇒幅1mm以下と目立たなくても、深さのある「構造クラック」は、外壁内部が歪んでいるサインかもしれません。外壁から雨漏りが発生する原因になるほか、シロアリも侵入しやすくなるため、補修が必要です。
●幅が1mm以上、段差がある
⇒「構造クラック」が深刻な状態に達しています。内部まで破損が進んでおり、DIYで直すのは困難です。専門の業者に点検と補修を依頼してください。
●幅が3mm以上
⇒ここまで大きいひび割れだと、必然的に深さも伴います。雨が降るたび当然のように雨漏りが発生し、さらに耐震性も弱くなっているので、緊急度はマックスです。すぐに業者に依頼して補修してください。
【シーリング(コーキング)の劣化】
外壁材のつなぎ目などに目地材を埋めて気密性や防水性を保つ施工をシーリング(またはコーキング)といいます。シーリングは外壁よりも耐用年数が短いため、通常は先に劣化して外壁材との間に隙間ができてしまいます(写真2)。こうなると雨漏りや隙間風を引き起こすため、早急に補修が必要です。
【金属部品のサビ】
トタンやガルバリウム鋼板などの金属製の外壁では、サビの発生は避けられません(写真3)。サビの発生当初は外観が悪くなる程度ですが、進行すると穴が開く危険性もあるので放置は禁物です。また、見た目が悪いからといってサビをそのままにして上から塗装しても、塗装の下でサビは進行し続けます。きちんとサビ取りをしてから塗装し直すことが大切です。
【穴・凹み】
サビの進行や、地震の揺れ・台風の飛来物などが原因で発生します(写真4)。雨水はもちろん、害虫やネズミの侵入経路になってしまうこともあり、緊急性が高い症状です。急いで業者に調査・補修を依頼する必要があります。
【コケ・カビ】
コケやカビは、湿度が高い日本でよく見られる症状です(写真5)。壁表面に水の通り道を示す垂直の筋がある場合、そこはコケやカビにとって絶好の繁殖場所になります。カビはアレルゲンにもなりやすいので早めの対処が賢明です。
【チョーキング現象】
外壁を触ったときに、手に白い粉が付いてしまったことはありませんか? これをチョーキングといいます。塗料のなかの白色顔料に含まれる酸化チタンが劣化して、チョークの粉のように浮き出てきているのです(写真6)。塗料は紫外線で劣化するため、チョーキング現象自体はよくあることです。とはいえ、防水性が低下していることは事実ですので、できるだけ早めに塗装のやり直しを検討してください。
【浮き・反り・剥がれ】
外壁に気泡のような浮きや、塗装の剥がれがある場合、壁の内部でトラブルが起きている可能性があります(写真7)。剥がれが大きくなると、破片が落下するなどしてご近所トラブルにもつながりかねません。すぐに業者に調査を依頼し、原因をつきとめます。