7月米雇用統計、前へ (※写真はイメージです/PIXTA)

7月の米雇用統計は就業者数の増加や失業率の低下を見ても、米労働市場の改善を示す内容でした。米連邦準備制度理事会(FRB)が債券購入額の縮小(テーパリング)準備を前進させることを支持すると思われます。実際、雇用統計後のアトランタ連銀総裁は改善ペースが続けばテーパリングの条件が整う可能性を示唆しています。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

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米7月の雇用統計:軒並み市場予想を上回る改善となり米雇用市場の回復が鮮明に

米労働省が2021年8月6日に7月の雇用統計を発表しました。事業所調査に基づく非農業部門の就業者数は、娯楽接客業(接客)部門などにけん引され、前月比94.3万人増と市場予想の約85万人増、前月の93.8万人増(速報値の85万人増から上方修正)を上回りました(図表1参照)。

 

月次、期間:2021年6月(左)~2021年7月(右)、前月比、太字は7月
[図表1]米国の非農業部門就業者数の主な部門の変化 月次、期間:2021年6月(左)~2021年7月(右)、前月比、太字は7月
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

7月の失業率は5.4%と市場予想の5.7%、前月の5.9%を下回りました(図表2参照)。平均時給は前月比0.4%増と、市場予想の0.3%増を上回り、前月の0.4%増に並びました。

 

月次、期間:2018年7月~2021年7月 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表2]米失業率(U3とU6)と就業率の推移 月次、期間:2018年7月~2021年7月
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

どこに注目すべきか:テーパリング、娯楽部門、季節調整、失業率

7月の米雇用統計は就業者数の増加や失業率の低下を見ても、米労働市場の改善を示す内容でした。米連邦準備制度理事会(FRB)が債券購入額の縮小(テーパリング)準備を前進させることを支持すると思われます。実際、雇用統計後のアトランタ連銀総裁は改善ペースが続けばテーパリングの条件が整う可能性を示唆しています。

 

まず、前月比94.3万人増と堅調であった非農業部門の就業者数を部門別に見ると、娯楽部門が前月に続き好調で38万人増でしたが、うち飲食業が25万人増とレストランなど対面サービスの回復が示されています。宿泊業も7.4万人増と回復を維持し、エンターテイメント関連も7月は5.3万人増と、幅広く回復の継続が見られます。

 

なお、米労働省の声明によると、娯楽部門の就業者数を新型コロナウイルス前の20年2月と比べると、まだ170万人程度、1割程度下回ると指摘しています。

 

娯楽部門以外で就業者数を押し上げたのは政府部門です。政府部門を連邦、州、地方の各政府に3分すると、連邦と州は合計して1万人の増加に過ぎず、地方政府の23万人増が大半を占めています。その地方政府でも教育が22万人増となっています。

 

教育関連が増えた背景として、学校再開に備えた教員の採用の動きや、夏休みの補習など新型コロナの影響で通常のパターンと大きく異なっていることが指摘されています。テクニカルな話ですが、このことが季節調整値に影響(実際より高い数字)を生み出した可能性があります。この季節調整の問題や、学校再開後に雇用が増えるか、また新型コロナ対策として週300ドルを上乗せする失業給付の加算は、すでに終了させた州もありますが、9月初旬には全て終わる予定で、これが雇用の動きにどのように影響するかなどは不透明要因です。

 

娯楽、政府以外にも、教育・医療部門や事業支援など前月並みの回復を維持するなど、雇用の回復は鮮明になりつつあります。ただ、金融当局者は早期の引き締めを主張する人であっても、先の不透明要因を確認する姿勢と思われます。

 

次に失業率も7月は大幅に低下し、雇用市場の改善を示しました。しかも経済的理由によるパートタイムなどを失業者に加えたU6(通常の失業率はU3)失業率も低下しており、質の点でも失業率に改善が見られました(図表2参照)。そして、裏腹ではありますが、生産年齢人口に占める就業者の割合である就業率も58.4%と上昇(改善、図表2参照)しました。7月の雇用統計では労働参加率は61.7%で小動きに留まりましたが、今後は人口動態の影響を受けにくい就業率の改善が重視される可能性も考えられます。

 

最後に賃金についても、持続性の確認は必要ですが、想定以上に改善したと見ています。結局、7月米雇用統計は、就業者、失業率、賃金のどれをとっても、確認事項は残りますが、テーパリングに向けた準備を支持する内容と思われます。

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『7月米雇用統計、前へ』を参照)。

 

(2021年8月10日)

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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