意外!経済状況の好転で医学部の志願者減へ
政府が実施した地方における医師不足・偏在是正のための臨時定員増、私立大医学部の学費引き下げといった時代の追い風を受け医学部は、人気とともに難易度を上げてきた。とはいえ、国公立大医学部の志願者数をみると、2012年度以降減少傾向にある(表1)。
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この背景には近年、「どうしても医学部に行きたい」という学生が減少していることが挙げられる。リーマンショック後に安定的高収入志向で医学部志望者が急増したことからもわかるように、医学部入試と経済動向は密接な関係がある。
2008年のリーマンショック直後から国内外ともに景気は悪化し、大卒就職率は急激に下落。下げ止まりに至るまで3年かかったもののその後徐々に回復を示し、2019年3月の大卒就職率は97.6%と過去2番目の高水準を示すまでになった。コロナ禍以前、大卒は就職市場において完全な売り手だったことを記憶している人も多いはずだ。「医者になるのは大変だし、なってからもハードな生活であることは、高校生はもちろん中学生も認識しています。人の何倍も苦労して医学部に行かなくてもいいのではないか、という風潮があったのは否めません」(宮辺氏)。