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金融緩和の縮小が進むと、債券・株式市場は下落傾向
今後の米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策を見極める上で、今夏は特に米ワイオミング州ジャクソンホールで開かれるカンザスシティー連銀主催シンポジウムでのパウエル議長発言に注目が集まっている。
2020年は、新型コロナウイルス感染症の世界的流行(パンデミック)を背景に、各国の中央銀行が金融緩和策を強化した。将来、どのように緩和縮小(テーパリング)を進めるのか、FRBの姿勢次第で、金融市場に波乱が起きる可能性があり、過去最高値を更新する米国株などへの影響が警戒されているためだ。
昨年は異例のオンライン形式での開催だったが、今年は8月26~28日に対面で行われ、世界の主要中央銀行総裁やエコノミストが参加する予定だ。
通常、金融緩和の縮小を始める過程では、伝統的な金融市場である債券・株式相場などは下落する傾向が強い。量的緩和縮小や将来の政策金利引き上げ見通しが強まれば、短期金利が上昇し始め、利回り曲線(イールドカーブ)はフラットニング(平たん化)し、債務・負債が大きな企業は、金利負担増加が業績下押し圧力と見られるだろう。
このため、債券・株式市場と相関が低く、リスク・ヘッジ(回避)手法を組み込んだヘッジ・ファンド投資へ関心が高まっている。
世界経済に不確実性が増大する環境のなか、金融・証券市場の連動性が強まる傾向にあるため、相場の変動に抵抗力を持ち、上昇と下落の両局面に同時に対応が可能な投資商品が求められているようだ。つまり、市場中立型に近い性質があるヘッジ・ファンド投資の必要性が高まっている状況と言えるだろう。
なお、金融・証券市場との相関が低い代表的な市場中立型ヘッジ・ファンドとしては、「ロング・ショート戦略」がある。株式・債券などを買い持ちするロングポジションに加えて、現物の空売りや先物などの売り建てのショート・ポジションを取ることによって、市場の方向性にかかわらず、利益を得ることが可能になる。
また、「マルチ・ストラテジー戦略」では、分散された投資戦略と資産クラスへの投資によって、リターンの安定化とリスク低減を図るとともに、市場環境に影響されにくいパフォーマンスを目指すものなどがある。
米ヘッジ・ファンド・リサーチ社によると、2021年1~3月期の世界のヘッジ・ファンドの新規設定数は189と四半期ベースで2017年10~12月以来、3年ぶりの高水準となった、と7月6日付の日本経済新聞が報じた。
前回のFRBによる金融引き締め時期に起きたテーパータントラムを覚えている投資家は、事前に準備を進めている向きが多いのだろう。ちなみに、「テーパータントラム」とは、量的緩和縮小や利上げなどの金融政策変更により、金利急上昇、株価下落、通貨下落、資金流出といった「市場のかんしゃく(動揺)」を意味する。
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