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「テーパータントラム」は再び起きるのか?
バーナンキ元FRB議長が2013年5月に、市場の想定より早いタイミングで、金融危機以降実施していた「資産購入規模の縮小」を示唆したことにより、それまで大規模な金融緩和に支えられていた資金の流れが急激に変わり、長期金利の急騰や新興国市場からの資金流出による通貨安などが起きた。
2013年3月時点では、米連邦公開市場委員会(FOMC)が四半期ごとに公表しているドット・チャート(メンバーが予想する政策金利の予想分布)で2015年12月までに3回の利上げが予想されていた。しかし、「バーナンキ・ショック」と呼ばれるテーパータントラムを受けて、FRBは市場との対話に苦心し、実際の初回利上げは2015年12月会合まで後ろ倒しとなった。
前回の経緯を振り返ると、2013年12月にテーパリングが開始され、2014年10月にテーパリング終了。その後、2015年12月に政策金利の引き上げが始められ、2017年10月に保有国債の削減(バランスシート縮小)が始められた。
今回は、新型コロナウイルスのデルタ変異株が経済成長を脅かすリスクが高まっている半面、労働市場は緩やかに回復し始め、インフレが高進する局面を迎え、FRBは再び難しいかじ取りを求められている。
FRBがテーパータントラムという同じ轍(てつ)を踏むとは考えにくい。償還を迎えた米国債・住宅ローン担保証券(MBS)への再投資を行わず、月額1200億ドルの資産購入額を自然に減らす「ステルステーパリング」といった形など市場への影響を最小限にとどめる姿勢を取る可能性は高い。
ただし、テーパリングがいったん始まれば、たとえステルスで心理的な圧迫が軽減されても、市場へ与える効果は同じだ。また市場参加者は、先回りして動き、金融引き締めを織り込むことから市場の動揺は不可避だろう。
先行きの不確実性が高まるなかで、投資家はテーパリングの終わりが見込めるまでの期間を乗り切るため、投資先の変更や銘柄選別・入れ替えなどを含め、十分な準備と心構えを怠らないことが肝要と言えるだろう。
髙橋 文行
池田 祐美
くにうみAI証券株式会社
オルタナティブ・インベストメントプロダクト部
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