前回は、新築物件と築10年未満の物件について、不動産投資に適しているのかどうかを見てきました。今回は、築10年から30年の物件について説明します。

築10年~20年経てば大規模修繕が必要に

前回の続きです。

 

●築10年~20年の物件

 

このくらいの築年数になると、新古とはいえず、家賃は下落して修繕が外壁、設備ともかかってくる時期になります。

 

しかし新築から保有しているオーナーの場合、残債は借入金利にもよりますが、80%から40%と返済が進んできています。

 

また、外壁、屋根、設備なども修繕の必要がありますので、安く売却してしまうオーナーもいます。

 

入居率も高いものと、低下していくものに分かれてきます。まだまだリフォームによって入居率、家賃を上げることも可能な時期です。新築から一度も大規模修繕をしていないのであれば、この時期に実施しなければなりませんので、その分のコストを考慮しておく必要があります。

 

また、築20年ともなると、RC造は半分近く、木造ではほとんど建物の価値がなくなってしまっていますので、売り主の残債がない土地値の物件が出てくる可能性もあります。

築20年~30年の木造、軽量鉄骨は土地値物件化

●築20年~30年の物件

 

この年数になると木造、軽量鉄骨造などは完全に建物の償却が終了しており、RCマンションであっても建物償却が半分ほど進んでいます。金融機関が考える耐用年数に達しているので、購入者が限られる上、ある程度の自己資金を入れなければ購入できない場合も多くありますが、その反面購入者が限定されることで、物件価格が安くなることもあります。

 

また、特に木造、軽量鉄骨など解体費用が安いものについては、建売業者の建売用地としての仕入れが一番多い築年数でもあります。つまり「更地での取引が出てくる年数」なので、土地値の物件を購入できる可能性があります。しかし、売却は購入者が限られるため、安値の可能性が高いです。

 

ただし冒頭でお話ししたように、完全に建物の償却が終了しているため、大規模修繕に関しても相当のコストをみておく必要がありますので、専門業者に建物の診断をお願いしておくことをお薦めします。いくら土地値であったとしても、保有後すぐに高額の修繕費がかかってしまっては意味がないからです。

 

購入に気を付けるべき点としては、本連載の冒頭で説明した、物件を見分けるポイントと同様です。

 

このように購入時の築年数によって、短期売却も可能なのかどうかが少しイメージできたのではないでしょうか。適切な計画を立てれば、築年数が古いものの方が建物の下落幅が小さい分、出口が見えやすくなるのです。

 

どんな物件を購入するかという入り口ももちろん重要ですが、それだけではなく、入り口、運用、出口と三つを見据えた上で購入を計画する必要があります。

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    本連載は、2016年5月31日刊行の書籍『不動産投資は「土地値物件」ではじめなさい』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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    菅谷 太一

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