入居者が共同で月単位の作品作りに取り組むことも
レクリエーションに関してもう一つ別の創造的な取り組みの例を示すと、「クラフトパッチワーク」を入居者の方々が共同で制作することもあります。
クラフトパッチワークとは、折り紙や包装紙、新聞紙などを折ったり切ったりして、パッチワークのパターンを作るものです。機能訓練指導員を務めていた一人の女性スタッフが独自に考案し、レクリエーションに導入したのです。
このクラフトパッチワークを入居者の方々が実際に制作している様子が、手芸の専門誌で紹介されたこともあります。ご参考までに、その取材記事の中から入居者の方々の声を取り上げた部分を引用します。
「制作中の方にお話を聞くと『昔から手を動かすことが好きで、若い時はレース編みをしていました。でも、年齢とともに目がだんだん見えにくくなってしまって。クラフトパッチワークなら私にも作れて楽しい』。また、別の方は「作品の色合わせをしている時も楽しいですが、どんなものができ上がるのだろう、と考えながら作る時間が楽しくて」とも話してくださいました」(日本ヴォーグ社『キルトジャパン』2014年4月号より)
私も完成した作品を拝見しましたが、どれも大変にすばらしく色鮮やかで非常に見ごたえがあり、「これが本当に手作りなのか!」と目を疑うようなものばかりです。
しかも、若い人のようにスムーズに作業が進むわけではありません。紙一枚切るにしてもゆっくり、ゆっくりと時間が流れます。大きな作品になると月単位の作業です。
そのように精魂を傾けて一つの作品を完成させることを通じて、入居者の方々は生きる喜びを全身で感じているに違いありません。
ボランティア、子どもたちとの触れ合いも大きな喜び
介護施設では施設で働くスタッフだけでなく、さまざまな外部の人たちも関わっていますが、とりわけボランティアの方々の協力は非常に貴重であり、ことにイベントやレクリエーションの中には、その参加を得て成り立っているものも少なくありません。
例えばイベントでは、ハワイアンダンスや日本舞踊、ピアノの弾き語り、ギターの演奏などを披露してくれたり、またレクリエーションでは、習字や絵の描き方、生け花を入居者先生に教えてくれたり――。
さらには、地域の保育園や幼稚園のかわいらしい子どもたちがボランティアとして参加してくれることもあります。歌を歌ったり、踊ったり、あるいは何をするというわけではなく入居者先生のひざの上で戯れたりなど、そのように子どもたちと触れ合うだけで、高齢の方にとってはとても大きな心の癒しとなります。
いつも一日中むっとしているように見える表情をした入居者先生が、子どもたちと接しているうちに笑顔になり、「あの先生の笑っている顔を初めて見た」とスタッフが驚いたこともあります。
笑ったことがなかった人からも笑みを引き出す、園児たちの底知れない大きな力が多くの介護施設で活用されているのです。
上村 岩男
株式会社三英堂商事
代表取締役社長
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