(画像はイメージです/PIXTA)

離婚後の「相続」は件数も増加しており、身近な問題となっています。親権や養子縁組の有無が、相続の可否に影響するのか。また、現在の「家族」から相続放棄を求められた際、受け入れなければいけないのか。そういった具体的なポイントについて、長年にわたり相続案件を幅広く扱ってきた、高島総合法律事務所の代表弁護士、高島秀行氏が解説します。

親権の有無や「ともに生活した事実」が相続に必要?

日本の離婚件数が増えてから、大分年月も経っていることから、離婚後の相続という問題も増えて来ていて、実際に相談を受けたり、依頼を受けたりすることも多くなっています。

 

同じような立場に置かれている人も多いのではないでしょうか。

 

まず、両親が離婚して、一方の親が親権者となり、親権者となった親と生活を一緒にした場合、他方の親の財産を相続できるでしょうか。

 

民法887条は、「被相続人の子は相続人となる」と定めています。

 

そして、親権の有無や一緒に生活したかどうかを問題にしていません。

 

したがって、両親が離婚して、一方の親が親権者となり、一方の親と生活をすることとなっても、親権者でもなく、一緒に生活しなくなった親の遺産でも相続することができます。

両親の離婚後、養子縁組をしていても遺産の相続は可能

次に、両親が離婚した後に、一方の親が再婚し、再婚相手と養子縁組をした場合、実の父親の遺産を相続することができるでしょうか。

 

養子縁組をした場合、養子は養親の嫡出子の身分を取得することとなっています。「嫡出子」とは両親が結婚している子供のことを言います。

 

では、元の実親との親子関係は、養子縁組でどうなるかというと、変わりません。養子縁組をしても、実親とは親子のままで、親子関係は無くならないのです。

 

そこで、先ほど説明した民法887条により、他の人と養子縁組をしても、実親の子供として相続人となります。

 

以上のことから、今回のケースで、Y子さんは、Bさんが親権者となり、Bさんと一緒に生活をしてきて、Aさんは親権者でもなく、Aさんと一緒に生活もせず、また、Y子さんはBさんの再婚相手Cさんと養子縁組をしましたが、Aさんの遺産について法定相続人として相続することが可能なのです。

養子縁組をしている場合「実親・養親」から相続できる

では、Y子さんは、Aさんと一緒に生活もしてこなかったし、Cさんと養子縁組をしていることから、Aさんの遺産について、相続放棄をすべきでしょうか。

 

Aさんに借金等があって、遺産がマイナスであれば、相続放棄をすべきでしょう。

 

しかし、Aさんの遺産がプラスである場合は、相続したいのであれば相続する権利はあるので遠慮なく相続すべきでしょうし、今さら関わり合いになりたくないという場合には相続放棄をしてもよいと思います。

 

養子縁組をしている場合、実親からと養親からと2人の親から相続が可能なので、二重に相続できるという意味で経済的には得な立場にあります。

 

法律的な権利なので、相続権を主張することは可能で、自ら相続放棄をするのなら良いですが、他人から相続放棄を強制される筋合いのものではありません。

 

したがって、正解は⑤となります。

 

筆者が経験した中では、父親には何もしてもらわなかったので、せめて残した財産を分けてもらいたいと言って相続権を主張した方もいますし、今の親の下で十分幸せなので、父親及びその家族と関わり合いになりたくないとして相続放棄をされた方もします。

 

もちろん、せっかくだからもらえる財産はもらうという考え方でもよいと思います。

 

 

高島 秀行

高島総合法律事務所

代表弁護士

 

【関連記事】

税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ

 

親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

 

「儲かるなら自分がやれば?」と投資セミナーで質問すると

あなたにオススメのセミナー

    人気記事ランキング

    • デイリー
    • 週間
    • 月間

    メルマガ会員登録者の
    ご案内

    メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

    メルマガ登録
    TOPへ