「お尻の位置がわかるようになりました!」…肛門科医師の奮闘の日々

ステイホームやリモートワークが増えた影響により、お尻に“痔”などの悩みを抱える人が増えています。肛門科を受診する事になりますが、馴染みのない人にとっては敷居の高い場所です。実際にどういった症状の人が訪れ、治療が施されるのか。『野垣クリニック』の院長である野垣岳志氏に紹介してもらいました。

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恥ずかしさや不安、恐れから…

先祖代々肛門科の家に生まれて、私で4代目になります。卒後は一般消化器外科医として勤務していましたが、実家の肛門科を継ぐ事となり、肛門科医として日々奮闘してきました。気づけば10年が経過していました。消化器外科医の頃とは全く異なり、肛門疾患に特化した施設であるため、本当に様々な思いや症状を抱えた患者様が受診されます。

 

そもそも肛門科を受診するという事自体がその方にとっては一大事であり、恥ずかしさや、長期入院が必要になるかもといった不安、術後の痛みや不具合などへの恐れなどによりなかなか受診できない訳です。ましてや手術を受けようと決断する事は相当勇気がいる事です。

 

そういったものを全て乗り越えて、手術を受けて無事に快癒されると、今までに抱えていた自分の肛門の状態に関する不具合がスッキリするため、心の底から出てくる言葉を聞く事ができます。患者様の生の声は、通常では想像もできない興味深い意見である事が多く、とても面白いなと日々思っています。

「お尻の位置がわかるようになりました」と喜びの声

「お尻の位置がわかるようになりました」

「お尻の位置がわからなくなりました」

 

どちらも、手術を受けて症状が良くなった患者様お二人の言葉です。それぞれ手術して治り満足して頂いているのですが、言葉は180度違いました。全く正反対の意見なのにどちらも喜びの表現なのです。

 

「お尻の位置がわかるようになった人」は、今まで何十年と痔が腫れたまま生活してこられており、排泄後にお尻を拭くのも一苦労。治療目的に自分で注入軟膏を挿入しようとしても、肛門の穴の位置がわからないため挿入に何度も失敗する状態でした。

 

手術を受ける決心がつくまでは注入軟膏により保存的治療としていたのですが、1日2個だけ使用するはずの軟膏を、注入に失敗するため何個も使用しており、その都度足りなくなるため診察にくる回数が多くなっていました。トイレットペーパーの消費量も多く、やや遠方の場所に在住されていたので、受診するための交通費も毎回それなりの金額になっていました。さらに、1日に何回も注入軟膏を試しているのでお尻の周りの皮膚が荒れてしまう状況でした。

 

そんな症状がこのまま続くのと、手術して治るのとどちらがいいかを悩まれた末に手術を受けられました。手術後の経過はとても順調。手術して腫れがなくなってスッキリしたお尻の形になった事により、綺麗に拭けるようになり、自分で触って「お尻の位置がわかるようになったから、もう軟膏で失敗はしないよ」と言って足取りも軽く帰られました。

お尻の穴が正しい位置に

「お尻の位置がわからなくなった人」は、今まで痔核が腫れて垂れ下がっていたのですが、手術をして本来あるべき位置に戻りました。それにより、排便後に今までの習慣でお尻を拭こうとすると、だいぶ高い位置にお尻の穴があるため空振りしてしまう(もっと上のほうを拭かないと届かない)との事でした。「これが正しい状態なんですね」と言ってとても喜んでいました。

 

確かに面白い意見だなと思って感心しました。何年も同じ肛門の状態で生活していると、拭き方などにも本人の独自の方法が編み出されていくのですね。お尻を拭く際、空振りする度に嬉しいとの事でした。他の方からも、「お尻の位置が手術前より高くなった気がする」と言われる事があります。内痔核が脱肛して下がっているというのは想像以上に本人にとって不快な症状なのだなと考えさせられるご意見でした。

 

もう通院されていないので現在どうなっているかはわかりませんが、きっと自分なりのお尻を拭く位置を見つけられたでしょう。

“オネエ疑惑”をかけられることも

当クリニックは名古屋市の繁華街である『栄』に位置しており、近くには中部地方最大の歓楽街である『錦』があります。来院される患者様は、昼間に近くで働いている普通の会社員から近隣のお年寄り、単身赴任などで名古屋に住まれている方、高級マンションの富裕層、オネエやキャバ嬢など水商売の方々、外国籍の方、テレビ局や新聞局関連など多様な職種と出会います。

 

LGBTQの方もよく来院されます。初めて来院される方はそれなりの恥ずかしさや緊張感を持って受診されるため、少しでも緊張をほぐすために色々な話をして、相手の話も引き出すようにしています。その方の名前の漢字の由来や名前の響き、生年月日、住んでいる住所に関連する事柄、職業、身につけているアクセサリーや服装、靴、カバンなどを手掛かりに話題を広げ、患者様が本音で話をしやすいように仕向けています。

 

その際に自分で意識は全くしていないのですが、もともと声のトーンが高い上に、オネエ言葉で話しかけたり、手の動きを大げさにしたりする事もあるので、よく誤解されます。今までに何人もの初診の患者様に、診察終了後に「先生、一つ聞いてもいいですか? 先生ってオネエですよね」と言われました。

 

まあそんな雰囲気になっていれば、こちらの目的は果たしているので満足しています。しかし、いたってノーマルなので誤解されたままだとどうなのかなと思うこともあります。初診時にそこまで打ち解けることができると、次の診療からもっと距離が近くなります。そういった事の積み重ねで、患者様から話しやすい状況にしているため手術後の率直な意見も聞けるのかもしれません。

患者様にかけてもらった嬉しい言葉

ある日の診療中の出来事です。初診の患者様で、何十年も前からずっと内痔核の不快な症状があり、重い腰を上げて受診された方がいました。手術したほうが改善する可能性が高い状態だったため、いつものように説明をしていました。

 

手術は全て日帰り手術であり、局所麻酔を用いて行います。肛門の周りは知覚が敏感であり、局所麻酔を行うこと自体が非常に痛く、術後も2週間は排便時の痛みを伴います。術後には浸出液が多く出るため、1ヶ月半程度はガーゼなどによる創部の保護が必要となります。初診の患者様に手術について説明すると、多くの方が最初は悩み、手術を受けるかどうか迷います。

 

ちょうどこの説明をしていた時に、次の患者様が診察室の前の廊下に座って待っていました。その方は以前に同じことで悩み、手術を受けられて、症状がすっかり良くなって毎日楽しく生活されている状態でした。診察室から漏れ聞こえてくる私の説明の声や、中で患者様が手術を受けようかどうしようか悩んでいる声を聞いて、「本当に楽になりますよ、手術迷ってたけど、治してもらってとても良かったと思っています。絶対に手術やった方がいいですよ」と心の中で叫んでいたそうです。

 

その方の診察順となり、診察室に入ってきた瞬間にまず、「私、診察室に乗り込んで、やった方がいいですよーって勧めてあげたかったです」と言われました。とても嬉しいお言葉でした。

肛門は人生の一部!

手術をして、今まで困っていた事や人に言えずに悩んでいた事が改善された患者様に、「こんな事だったらもっと早く手術すれば良かった」と言われることが多々あります。

 

オネエと思われたり、自分の知らないところで話題にされていたり、診療時間が長引いたり、不幸にも手術後の経過があまり良くなくてお叱りを受けたりする事もありますが、患者様が素直な気持ちで発せられる面白い発言に日々助けられています。

 

肛門は誰にでもあって、毎日使われる場所であり、日々の生活に直結する事が多いため、確実に人生の一部分を占めます。お尻の位置がわからなくて困っている人がいたら、一度肛門科を訪れてみると人生変わるかもしれませんよ。

 

 

野垣 岳志

野垣クリニック院長

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野垣クリニック 院長

2001年香川大学医学部卒業 
消化器外科医として10年働いたのちに家業である肛門外科医の道へ
2020年4月より野垣クリニック院長就任
明るい患者様やスタッフに囲まれて日々楽しく診療中

著者紹介

連載肛門科医師の奮闘の日々

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