「コロナ特例の延長申請」についての現場での判断
東京オリンピックも開催され、新型コロナの感染者数の数が全国的に大幅に増加しており、現在は緊急事態宣言が発出されている地域もあります。
そのため、個別延長申請の延長根拠として、宣言が発出されていることを理由に延長することは認められる可能性が高いと考えられます。
ただし、宣言が発出されていない地域においては、基礎疾患や発熱の症状があるかといったより個別具体的な理由が求められます。
また、個別延長申請の届け出方法については、下記の2通りの方法があります。
① 申告書を提出する前の段階で延長申請を提出し、その後、延長した申請期限内に申告書を提出する方法
② 相続税の申告期限を過ぎた段階でも延長申請は事前提出せず、申告書を提出する段階で延長申請と同時に提出する方法
この場合、②については申請書に記載する延長期限日を申告書提出日とすれば提出日が申告期限となります。
一方、①の事前提出の場合は、自分で期限を定めなければいけません。
そもそもイレギュラーなお手続きであるため、どの程度の期間まで容認されるのかという具体的な説明はありませんので、コロナの影響も勘案し、申告ができるようになる時期を見通した上で、余裕をもった期間を申請するようにしましょう。
筆者が税務代理を行った方で事前申請を行ったケースがあり、延長期間を6ヵ月としていました。
基礎疾患があり、かかりつけの医師もいましたので特に税務署から指摘を受けることはありませんでした。
税務署の方でも、新型コロナについては、ワクチンがあったとしても感染リスクをゼロにすることはできないため、相応の理由があり、あまりにも非現実的でないような長期間でない場合には延長期間について指摘することが難しいのが実情ではないでしょうか。
税務署の方でも明確に否定するだけの根拠がない状況にあると考えられます。
■まとめ
新型コロナウイルスの影響において我々の生活に多大な影響がもたらされています。
直接的に感染しているケースや濃厚接触者に該当していないケースでも、たとえば、金融機関の手続きが予約制になってしまって通常よりも時間がかかってしまうことや、相続人の中で基礎疾患を抱えている方がいる、施設に入居しているため面会が難しくて遺産分割協議をスムーズに進めることができない等の間接的な影響もあります。
延長申請の方法が上手く説明できず、結果として期限後申告になってしまったということにならないように、税務署の判断で否認されないように実務経験の豊かな相続税申告の現場に詳しい相続税専門税理士に相談することをお勧めします。
税理士法人ブライト相続 税理士
戸﨑 貴之
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