(※写真はイメージです/PIXTA)

医療の世界においては、処置のミスは絶対あってはいけないこと。しかし、医師や看護師だって人間です。そのときのメンタルや体調によって、いつも万全な状態ではないことも確かなことです。手術を受けた患者さんが、「先生、もしかして失敗しちゃったの?」という不安を感じてしまった事例を紹介します。

現場を見ていた患者と家族の反応はいかに

これでひと安心ではあるのですが、ご家族の心情としてはそのままというわけにはいきません。処置が終わったあと、奥様は処置をした医師に、なぜ夫がこのようなことになっているのか、怒りこそ抑えてはいましたが、食い下がったそうです。すると医師からは、オペ室で全身麻酔から覚醒したことを確認し、導尿の処置をしたこと。挿入の際、なかで抵抗があったので、処置をした麻酔科医が強めに押し込んだことが説明されました。

 

導尿を挿入する際、個人差があるのですが、なかなか入りにくい方がいるのは事実。そういうときには、ちょっと強めに押し込むこともあるそうです。ところが患者さんの前立腺が少々肥大していたようで、なかなか挿入できないこともあって、かなり強く押し込んでしまったことが原因のようでした。

 

夫の状態が原因であれば、ある意味仕方がないこと、と奥様は半分は納得されたようでしたが、一言の謝罪もないことにぶつけどころのない怒りが残ったままのような歯切れの悪さだけがあったとおっしゃってました。

 

翌日になると、患者さんの意識ははっきりしていたそうです。消毒など処置をするために看護師が来たとき、彼は「いやぁ、この世の痛みとは思えないくらいの苦痛だったよ。二度と体験したくないな、あれは。私の体が原因のひとつだったら、導尿をしてくれた医師の方には手間をかけさせたこと、謝らなければいけないんだろうけど。でも、医師からも申し訳なかったねっていう一言が欲しいのは本音。それなら、いやいやこちらも手間をかけさせてしまってかえってすみませんって素直に言えると思う。前立腺が肥大していたから仕方がない、みたいに言われてしまうと、ちょっと考えさせられてしまうよ。今の時代、謝ると非を認めたことになって、医療ミスだ、とか騒ぐ人が増えたせいなのかな。お互い様っていうことで、無事に終わってよかったっていうほうが気持ちいいんだけどね」と伝えたそうです。結局、Aさんはなかなか出血が止まらなかったことが原因で、5日から1週間ほどの入院予定が、2週間ほどになってしまいました。

 

医師も看護師も、わざと失敗しようとする人はいません。しかし、人のやることなので、ときには間違いだってあるのは事実です。患者からすれば、間違いがあってはいけないのが医療、という認識なのは当然です。幸い、今回のAさんは病院に対してクレームを申し立てることはありませんでした。しかし、患者さんの身になって考えると、そういうことだってある、と片付けてはいけないことだと感じた話でもありました。

 

 

※本記事で紹介されている事例はすべて、個人が特定されないよう変更を加えており、名前は仮名となっています。

 

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