「初期費用」が手ごろなのも魅力の一つ
●初期費用は株と不動産の中間くらい
他の投資法と比較するにあたって、利回りと並んで重要な要素となるのが初期費用です。
例えば株式等の金融商品であれば、1万円からでも投資をすることが可能です。とはいえ、少額投資では当然リターンも小さくなってしまうため、「銀行に預けるよりはマシだよね」といった意味合いが強くなります。
その点で、不動産の場合は初期投資額が数千万円と非常にハードルが高い投資になりますが、やり方次第でその大部分を銀行融資に頼れるというのが大きな利点です。大企業に勤めているなど、融資審査における属性の良い人であれば、これは大きなメリットになるでしょう。
それらと比較してフランチャイズはどうなのか、という話ですが、フランチャイズと言っても様々な業種、様々な本部があるため一概には言えません。これまで筆者が見てきたものの中では150万円ではじめられるものから、1億円かかるものまでがありました。
すごくざっくりと言ってしまえば、株などの金融商品よりはハードルが高いが、不動産よりは安いものが多い、というくらいでしょうか。
●初期費用が低いフランチャイズは投資より起業の性質が強い
具体的にフランチャイズの初期費用の例を見てみましょう。
安いのは店舗を持たない個人事業系です。例えば、依頼者の家に行ってお掃除をする、または便利屋さんのようなサービスを提供するフランチャイズがあります。集客や業務のノウハウをフランチャイズ本部から教えてもらうわけですが、店舗の賃料や自分以外のスタッフの人件費などはかからないので150~300万円程度ではじめることができます。
逆に誰もが名前を知っているような大型のレストランや、24時間型のスポーツジムなどのフランチャイズは1億円近い初期費用が必要なものも珍しくありません。
150~300万円の初期費用であれば、月の利益が50万円だったとしても3~6ヵ月で回収でき、そのあとの売上はそのまま利益になりますから、初期費用の少ない人でもできます。ただし、自分が働くことが前提ですので、投資とは言いづらいやり方です。普通に起業を考えている、とにかく会社を辞めて個人で生きていきたい、という人ならアリでしょう。
逆に1億円の初期投資となると、それなりにうまく経営できたとしても、初期投資をすべて回収するのには5年以上かかるのが普通です。とはいえ、例えば8年で1億円を回収できるとしたら、単純計算で年間1250万円の利益ということですから、そのあとのリターンは非常に大きいものとなります。
●投資額が大きいほど勝率は高まる
初期費用額が大きいフランチャイズほど、成功確率は高くなる傾向があります。
初期費用1億円のフランチャイズというのは、1億円を払ってでもそこに加盟したいという人が一定数いるから成り立っているわけです。1億円を回収するというのは当然大変なことですが、実際にそれを回収してうまくいっているオーナーがいなければフランチャイズとして広まることはありません。
つまり、1億円に見合うノウハウやブランドを提供してくれるということであり、それはそのままビジネスとして成功する確率に直結します。
一方で150~300万円ではじめられるフランチャイズというのは、仮に失敗しても泣き寝入りしてしまうオーナーが多くなります。もちろん150~300万円も大金ではありますが、ほとんどが個人ではじめる人というのもあって、あまり裁判などにはなりません。そうなると成功率の低いフランチャイズが自然淘汰されづらいということになります。
●投資としてのボリュームゾーンは1000万円~3000万円
現実的な話として、起業に近い個人事業系統のフランチャイズであれば150万~500万円が初期費用のボリュームゾーンになると思います。
ただ、この本記事のコンセプトはあくまで「投資」。例えば、年収1000万円以上あるサラリーマンがセカンドキャリアを考えてはじめるとか、会社が新規事業として手を出す、といった観点で考えるのであれば、そういった個人事業系フランチャイズは選択肢に入らないと思います。この場合のボリュームゾーンは1000万円~3000万円くらいでしょう。このくらいの金額を払えるのであれば、フランチャイズ本部の選択肢も多くなってきます。
古川 暁
ロータス・インターナショナル株式会社 代表取締役
公益社団法人日本証券アナリスト協会 検定会員
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