入居者ニーズや差別化という言葉に振り回されない
なぜ、前回までに紹介したような無駄金リフォームになってしまうのでしょうか?
それは、どんなリフォームをするのかを考えているからなのです。「えっ、リフォームをするのにリフォームの事を考えないの?」と驚かれるかもしれませんが、正確に申し上げると、リフォームの内容や金額やデザインなんてことは後で考える事で、まず初めに考えるべきことは出口を決めることなんです。
賃貸経営のリフォームにおける「出口」とは、もちろん、部屋が決まるかどうかなのですが、もう少し突っ込んで考えると、どんな入居者にどれくらいの家賃で貸すのか、入居してもらうのかを決めることなんです。
一般的な会社経営ではよく言われていますが、いわゆるターゲットを決めるということです。
両極端に申し上げた方がわかりやすいと思いますが、20歳と70歳の入居者では、好みも必要なものも違うでしょうし、3万円のワンルームと、50万円以上するような高級物件では、設備も部屋の雰囲気も全く違ってきます。
しかし賃貸経営においては、出口=ターゲットが置き去りにされたまま「入居者ニーズ」とか「差別化」とかいう言葉だけが先行してしまい、無駄金リフォームが発生する原因となっています。
まずはターゲットを決めて「方向性」を定める
そして、この「出口」を決めてから次に考えるのは、今回のリフォームが「経費」なのか「投資」なのかを考えます。どちらもコストを抑えて費用対効果の高いものを目指すという意味では一緒なのですが、経費と投資では優先事項が逆になるのです。
経費と捉えた場合は、
①できるだけコストを抑える
②費用対効果を考える
投資と捉えた場合は、
①費用対効果を考える
②できるだけコストを抑える
となります。具体的には、経費として考えた場合、同じ位のコストを払うならもっと良い方法はないかと考え、投資として考えた場合は、さらに費用を出せばもっと効果が出るものはないかと考えるということです。
そのような事を考えながら、最後にリフォームやリノベーションのコンセプトを決めます。コンセプトと言えばおおげさですが、リフォームやリノベーションそのものの方向性やデザインを考えるということです。
つまり、リフォームやリノベーションをするにしても
①ターゲット(出口)を考える
②経費か投資か考える
③コンセプト(リフォーム内容)を考える
というように、企業経営さながら仮設戦略を立てれば、家主さんのリフォームやリノベーションから無駄金がなくなっていくと思いますので、是非一度、しっかり考えてみてくださいね。