リフォーム・リノベーション業者選びのタブー
お客様という立場で決してやってはいけないことは、同日時に複数他社の建築屋さんをひと集めにして相見積もり(あいみつもり)をとること。
一度に説明ができて現地調査の時間も一度で済むため、効率的なのでやらかしがち。でも実は、建築屋さんの側としてはまるで品定めされているようで、気分がよくありません。実際私は、そういう場合は事前にお断りしているんです。
複数業者に見積もり依頼をする場合、必ず調査時間をずらして一社ずつ個別に打ち合わせを行うという気遣いは、絶対に必要だと感じています。
また、「見積もり無料」を利用して、無理難題な注文を付けすぎるのも困ったものです。
あるお客様に「図面を編集可能なデータで送ってくれ」と言われた時には、さすがに怒りを覚えました。
素材のデータも入ったその図面を他の建築屋さんにばら撒いて、相見積もりを取るつもりだけだったのならまだしも、私の図面を元にして、そのデータに手を加えて新たな図面を作るつもりだったのかもしれません。知恵を絞り苦労して描いた図面を軽々しく扱われた、本当に悲しい出来事だったことを思い出します。
建築屋さんと依頼主はどちらが上でも下でもいけません。正当な作業に対して正当な対価を支払うという、対等な立場で向き合っていけることが理想であり、それが業者からのお願いです。
リフォーム・リノベーションの業者選びで失敗すると…
戸建住宅を二世帯仕様にリフォームしたいというご相談がありました。
なぜだか、どこか諦めムードなそのお客様。よく聞いてみると、当初は別の建築屋さんと契約間際まで進んでいたそう。しかし、高額であるのに加えプランも気にいらず、半年間やり取りをしても信用しきれなかったために、ある方の紹介で私のところへ相談に来てくれたのです。
どうせ今回も同じような金額とプランが出てくるのだろう…と諦めていたのかもしれません。
当初の建築屋さんが出したプランを聞いてみると、抜いてはいけない柱を抜き、やらなくていい補強工事を予定され、家がもたないめちゃくちゃな内容です。
工事費も色々上乗せされた不当な金額でした。お客様が感じていた「なんとなく信用できない」というカンは当たっていたのです。もし、自分がお客様の立場だったらと考えるとぞっとします。
現地調査とヒアリングを行い、できること・できないことをしっかりお話ししてプランニングとお見積もりを出させていただくと、納得して私の会社に工事をお任せくださいました。
もし、最初の業者さんが工事をしていたらどうなったのでしょう? なんとも恐ろしい話です。なぜなら、抜いてはいけない柱がなくなっていたのですから…。
寺田 勤江
株式会社ワンダフル代表
二級建築士・公認インテリアコーディネー
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