はじめての物件では「元利均等返済」の利用が無難
融資を受ける際は融資金額や金利が気になるものですが、意外と見落としがちなのが「返済」に関する条件です。十分な融資を受けられても、返済方法に無理があると返しきれなくなる可能性もあります。融資の仮承認が下りた段階で各種条件が提示されるので、細かくチェックしておきましょう。
重要なのが、「返済比率」です。これは非常に重要な指標なので、必ずシミュレーションをしておいてください。
●返済比率
月々の家賃収入に対する、金融機関への返済額の割合です。金融機関によっては、返済比率が明確に決められていることがあります。
ポイントは、返済方法です。返済方法には、「元利均等返済」と「元金均等返済」があります。
◆元利均等返済
月々の支払額が均等になる返済方式です。支払額が常に一定のため、返済計画が立てやすいというメリットがあります。
ただデメリットとして、初期は返済額に占める利息の割合が高く、元金がなかなか減らないという点が挙げられます。しかし、不動産投資の融資期間は基本的には長期にわたります。時間の経過とともに元金は減っていきますので、長い目で見れば問題はありません。
◆元金均等返済
元利均等返済に対し、毎回の支払元金が均等になる返済方式です。元金が毎月均等に減っていくため、利息とともに月々の返済額も少なくなります。
デメリットは、返済開始当初は返済額が高いことです。キャッシュフローも少なくなるため、返済が追いつかなくなる可能性があります。とくにはじめての物件で慣れないうちは、元利均等返済を選択した方がいいでしょう。
メリットだけではない「繰り上げ返済」の活用
また、返済には繰り上げ返済という方法があります。その名の通り、定められた期限よりも早くローンを返済することです。
余剰金がある場合は、繰り上げ返済をした方が金利の負担額が減るというメリットがあります。しかし、繰り上げ返済にはいくつかのデメリットがあります。とくに物件を増やそうと考えている方は、繰り上げ返済はしない方がいいでしょう。
繰り上げ返済をするということは、そのぶん手元資金が減るということです。金融機関が重視するのは返済能力ですから、手元資金が少ないと判断されると次回以降の融資が厳しくなります。簡単に言うと、融資可能額が少なくなる可能性があるのです。
このリスクを回避するためにも、余剰金はなるべく手元に残しておいた方が賢明です。次の物件を買う際の、自己資金にあてるといいでしょう。また、繰り上げ返済時に違約金が発生するケースもあります。違約金の有無は融資条件に記載されているので、必ず確認してください。
違約金の平均値は、残債の1〜2%。つまり、残債が1000万円ある場合は10〜20万円もの違約金が発生するのです。不動産投資の融資金額は数千万円〜数億円単位ですから、タイミングによっては桁違いの手数料を請求される可能性があります。
「せっかく返済したのに不条理だ」と感じるかもしれません。しかし、金融機関としては本来得られるはずだった金利が少なくなっているわけです。要は損失を補填するための制度なのですが、返済する側としてはできれば払いたくないものですね。繰り上げ返済を検討している方は、融資条件をしっかり確認したうえで行うようにしてください。
このように、返済だけでも注意すべきポイントはいくつもあります。お金を借りるだけが「融資」ではありません。金融機関の融資を受ける際は細心の注意を払い、返済計画を立ててから契約を結ぶようにしましょう。