不動産投資の世界に「正解」はないが・・・
Q:融資を受けられるのであれば、より高い物件を手に入れたほうがいいですか?
これは、非常に難しいところです。「目標設定はできるだけ高くしたほうがいい」というのが私の考えですが、人によって考え方は異なります。「まずはアパートからスタートしたい」という堅実な方もいらっしゃれば、「億単位で構わないので、大きなマンションが欲しい」という意欲的な方もいらっしゃるのです。
不動産投資の世界には、正解はありません。
そのぶん判断も難しいのですが、結局のところは「安定したキャッシュフローが手に入るか」がもっとも重要なポイントだと思います。繰り返すようですが、不動産投資はあくまでも「事業」だからです。
そう考えると、「より高い物件」よりも「よりキャッシュフローの大きい物件」を狙うべきだと思います。
立派な物件を買えば、リターンが多いわけではありません。むしろ管理費やリフォーム費用が高くつき、キャッシュフローが少なくなってしまう可能性があります。どれだけ大きなマンションを所有していても、わずかなキャッシュフローしか得られないのでは投資の意味がありません。
会社の給与と同じように、不動産投資の世界でも「安定収入」は強いです。見かけや立地に騙されず、確実に稼げる物件を選ぶようにしましょう。
では、どのくらいのキャッシュフローが入ればいいのかというと、物件価格の2%程度を目安として考えてください。
例えば、1億円の物件なら年額200万円です。月額に換算すると少なく感じるかもしれませんが、キャッシュフローに手を付けなければ5年間で1000万円貯めることができます。これだけの自己資金があれば、次の行動を起こしやすいというわけです。
小規模な物件は空室で運営難になりやすい!?
もう1つ意識したいのが、物件の「規模」です。5部屋よりは10部屋、アパートよりはマンションの方が「規模」が大きいといえます。不動産の運営を安定させるためには、より大規模な物件の方が有利だと考えられているのです。
例えば、全5部屋の小さなアパートと全100部屋の大型マンションを想像してみてください。それぞれ3部屋が同時に空室になったとしたら、不動産投資家にとってダメージが大きいのはどちらの場合でしょうか?
答えは、簡単にイメージできると思います。
100部屋中3部屋が空室でも、大した打撃にはなりません。しかし5部屋中3部屋となると、半数以上が空室という計算になります。家賃が月々5万円だとすると、25万円入るはずだったのに10万円しか入らないのです。これでは、再び満室になるまでの資金繰りにも一苦労でしょう。
小規模な物件では、空室ができると運営が厳しくなる可能性が高いのです。これらをまとめると、「安定したキャッシュフローがあり、規模が大きい物件」を狙うべきだという結論になります。
つまり、マンション一棟買いがもっとも賢い選択なのかもしれません。マンション一棟買いの収益性は、やはり地方の中古マンションは手堅いと考えられます。
これはあくまでも筆者の考えですので、真似をしなければいけないわけではありません。もちろんアパートでも入居者を確保し、安定した収益を上げている方もいらっしゃいます。逆に、条件の整ったマンションを一棟買いしても、思い通りの資金繰りができない方もいらっしゃるのです。
やはり不動産投資は「事業」ですから、思い描いた通りにすべてが運ぶとは限りません。そのことを念頭に置いたうえで、賢くチャンスを摑んでください。