※画像はイメージです/PIXTA

遺言書によって財産を渡す方法には「包括遺贈」と「特定遺贈」の2種類があります。一見そんなに違いがないように見えますが、どちらの方法を採用するかによって、財産を受け取る側の相続税の金額が変わったり、また負うべきリスクが変わったりしてきますので注意が必要です。詳しく見ていきましょう。

包括遺贈と特定遺贈…相続手続きの留意点

「包括遺贈」もしくは「特定遺贈」によって財産をもらった際、具体的に相続手続きをしていくなかで留意すべき事項を紹介します。

 

■特定受遺者の場合は債務・葬式費用が控除できない

特定受遺者(特定遺贈で財産ももらった者)は、相続税の計算を行う際に、仮に負担した債務や葬式費用があったとしても、それを相続税の計算上控除することができません。本来、特定受遺者は債務や葬式費用を負担する義務がないのでこのような取り決めとなっています。

 

なお、もともと相続人であるものが特定遺贈で財産を譲りうけた場合にはこの規定は適用されず、他の相続人と同様問題なく債務や葬式費用の控除が可能となっています。

 

ただ、例外的もあります。債務を負担することを条件に特定の遺産を渡すような内容の特定遺贈の場合(これを「負担付遺贈」と呼びます)には、その債務については相続税の計算上控除できることになっています。

 

■特定遺贈の場合には不動産取得税がかかる

「特定遺贈」で不動産をもらうと、不動産取得税がかかります。通常、相続で不動産をもらう場合には不動産取得税はかからないことになっていますが、この「特定遺贈」の場合のみ例外となっています。

 

なお、債務・葬式費用と同様、もともと相続人であるものが特定遺贈で不動産を譲りうけたとしてもこの不動産取得税はかからないことになっています。

 

■包括遺贈と特定遺贈の場合の遺言書の記載例

「包括遺贈」及び「特定遺贈」それぞれの場合の遺言書の記載例を紹介します。

 

注意すべき点は、「包括遺贈」の場合は全財産のうちの割合を明確に記載する、「特定遺贈」の場合はどの財産であるかを明確に記載するといったことです。後々争いの火種となる可能性があるため、あいまいな表現は避けることを心がけましょう。

 

【包括遺贈の記載例】

遺言者は、長男XX(昭和OO年O月O日生)に遺産のX分のOを遺贈する。

 

【特定遺贈の記載例】

遺言者は、長男XX(昭和OO年O月O日生)に以下の土地Aを遺贈する。

素人判断でトラブルも…迷ったら専門家に相談を

包括遺贈及び特定遺贈について、その定義や特徴、メリット・デメリットを述べてきました。

 

これから遺言書を書こうとしている方は、どちらの方法が自分の希望に沿った遺言内容が実現できるかということをよく考えてみましょう。

 

また、遺言書によって財産をもらうことが分かっている方の場合は、自分が特定遺贈もしくは包括遺贈どちらの方法で遺贈されたのかを知り、今後の相続手続きの参考にしてください。

 

なお、実務的には包括遺贈か特定遺贈かの判断に迷う場合も多々あります。判断を誤って、その前提で相続手続きを進めていくと後々やっかいなことになる可能性も。判断に迷ったら、素人判断せず、専門家に相談してみましょう。

 

 

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    本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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