シングル正社員「60歳以降のお金」の受け取り方…税負担額を軽減するポイントは?

シングル正社員「60歳以降のお金」の受け取り方…税負担額を軽減するポイントは?
(※画像はイメージです/PIXTA)

現役時代の働き方・ライフプランによって、効果的な「老後のお金」の受け取り方は異なります。ここでは、シングルの正社員が「再雇用で65歳まで働くケース」と「65歳の定年まで働き続けたケース」の2パターンを紹介します。※本記事は、大江加代氏の著書『「サラリーマン女子」、定年後に備える。 お金と暮らしと働き方』(日経BP)より一部を抜粋・再編集したものです。

シングル正社員、会社の年金制度が充実

[例えばこんな人]

▼シングル・正社員

▼定年は65歳、新卒から同じ会社

▼確定給付企業年金(DB)がある

▼企業型確定拠出年金(企業型DC)がある

 

 

大学卒業後は同じ会社で働き、定年は65歳。現在シングルで、老後も「おひとりさま」を満喫予定です。勤務先には確定給付企業年金(DB)と、企業型確定拠出年金(企業型DC)がありますが、いずれの制度も会社が掛け金を出してくれるのは60歳までの38年間。掛け金の控除などの節税メリットがあると聞き、60歳以降はiDeCo への加入を検討中。65歳以降は住居費の安い地方に住もうかなと考えています。

 

 

●課題は?

 

「おひとりさま」の老後で気になるのは、やはり年を取ったときに貯蓄が底をついてしまうのではないかという不安です。特に、DBと企業型DCの両方が使えるなど、会社の年金制度が複数あるこのケースのように恵まれている人は、「課税額を計算する際のルール」をよく理解しておきましょう。受け取る順序などを誤ると、税負担額が多くなってしまうので注意が必要です。

 

 

※2022年5月以降の「国民年金の被保険者は65歳までiDeCoへの加入が可能になる」という法改正に基づく。

 

◆解決策◆
 

▢ 60歳で企業型DCを「一時金」で受け取る

▢ 65歳でDBを「一時金」で受け取る

▢ 65~70歳でiDeCoを「年金」として受け取る

▢ 70歳から公的年金をもらう

 

60~65歳まで積み立てしたiDeCoを65~70歳までの「つなぎ」として、70歳まで公的年金の受給を繰り下げるのは、前項目と同じ。考えておきたいのは、「一時金」を受け取る順序です。

 

一時金の合算対象はDBが前年以前4年分、企業型DCが前年以前14年分。このルールを考慮して、60歳時点でまず企業型DCを受け取り、65歳を迎えた後にDBを受け取れば合算されません。この場合の退職所得控除額は、DBと企業型DC、それぞれの積み立て期間38年間を勤続年数に置き換えて計算するため、

 

《800万円 + 70万円 ×(38年 - 20年)》

※退職所得控除の計算式はこちら

 

それぞれの一時金につき、「2060万円」という控除枠が使えることになります。受け取り順序を逆にすると、合算対象になってしまうので要注意です。

 

 

大江 加代

確定拠出年金アナリスト

株式会社 オフィス・リベルタス 取締役

NPO法人 確定拠出年金教育協会 理事

 

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