会社の支配を巡って創業家と経営陣が対立!その後…
Case
1.Xは、ショッピングセンター等の経営を目的とする株式会社であり、Aは、その代表取締役である。Xの資本金は1億6,700万円、その有する資産の価額は合計47億8,640万円余である。
Xは、「株式会社甲」の株式を12万1,000株(本件株式)保有しているところ、本件株式の帳簿価額は7,800万円であり、甲の発行済株式の7.56パーセントに相当する。Xは、甲の株主総会に出席したことがない。
「株式会社甲」は、茶の製造販売を営む株式会社で、直近2年間に、株主に対し1割配当をしている。そして「株式会社甲」は、Xの発行済み株式の17.86パーセントを有している他、Xとの間に商品の取引はない。
2.Xは、もともと京都の旧家「乙家」によって設立され支配されてきたものである。しかし、その支配をめぐり、Xの代表取締役Bら(当時)と乙家との間で内紛が生じ、平成元年9月、AがXの取締役及び代表取締役に選任・選定され(Aは、乙家の親戚に当たり、甲の代表取締役でもあった。)、逆にBは、同年12月、代表取締役を解職された。
3.Aは、本件株式は、元は乙家が所有していたもので、利回りもさしてよくなかったため、むしろ処分して資金を調達した方が、当時のXの財務状況からして適当であると考え、Yに対して本件株式の買取りを依頼した。
そして、Xは、平成2年1月某日、本件株式を、Yに対し、代金7,986万円で譲渡した。この譲渡につき、Xの取締役会の承認決議はなされていない。ただ、Xの取締役会において、昭和63年6月、Xの有する他の会社の株式を譲渡することを承認する旨の決議がされたことはある。
4.その後、乙家とBらとの間で和解が成立し、平成2年1月某日、Aは代表取締役を解職され、Bが再びXの代表取締役に選定された。ちなみにこの日は、本件株式譲渡の翌日である。
5.Xは、AがなしたYに対する本件株式譲渡が、取締役会決議が必要な商法260条2項1号(現会社法362条4条1項)の「重要なる財産の処分」にあたるところ、その決議を欠いており無効である等と主張して、「株式会社甲」の株主権の確認を求め、提訴した。
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