今回は、競売物件の特殊性について見ていきます。※本連載は、株式会社ワイズ不動産投資顧問の代表取締役・山田純男氏、弁護士・竹本裕美氏の共著、『プロが教える競売不動産上手な入手法』(週刊住宅新聞社)の中から一部を抜粋し、不動産を格安で手に入れることができる、簡単・安心な競売のノウハウをご紹介していきます。

いわゆる「占有屋」が居座っている場合も・・・

素人は競売に手を出すな、という話をよく聞きますが、不動産競売にはどのような特殊性があるのでしょうか。

 

①物件の現地調査が困難

競売不動産の所有者は、多くの場合、物件の売却を望んでいないので、現地調査において協力を求めることができません。

 

②購入資金についてローンを利用しにくい

まず、買受人は入札前に銀行などへローンを申し込みますが、実際に落札できるかどうか分からないこともあり、入札時点では、融資の本審査が行われにくいのです。結局落札した後で、本格的融資審査となるのですが、その段階で融資を否認されたら、買受人は非常に困ってしまいます。

 

いきおい、ローン借入れ前提では入札しにくいことになります。なお、1998年10月の民事執行法改正によって、銀行などの抵当権の設定を買受人への所有権移転登記と同時に行える制度を作ったので、それ以前より、ローンは、この点において利用しやすくなりましたが、銀行は積極的に取り組んでいないのが現状です。

 

③占有者の問題

占有者といっても事情はさまざまであり、もとの所有者が移転先がないため居住している場合から、占有屋が居座っている場合もあります。

物の瑕疵については民法の規定の適用がない

不動産競売の特殊性として、買受後に以下のような問題が生じた場合に、通常の不動産取引とは異なります。

 

まず、自ら居住する目的で買い受けたが、占有屋が占拠していて使用できない場合、通常の売買であれば売主の債務不履行で売買契約を解除できますが、競売手続では解除はできません。買受人の責任と費用で引渡しを受けるしかないのです。それでは、購入した不動産に欠陥があった場合はどうでしょうか。

 

物件の欠陥を法律上瑕疵といいますが、通常の売買であれば物件の物質的瑕疵(家を買ったら土台が腐食していた等)、権利の瑕疵(土地を買ったら買主に対抗できる第三者の利用権が存在し使用できない等)の双方について、買主は売主に対し民法の瑕疵担保の規定(民法第561~567、570条)により代金減額、損害賠償、契約解除の請求ができる場合があります。

 

ところが競売では、権利の瑕疵については通常の売買と同様の請求が債務者、場合によっては代金の配当を受けた債権者にできますが、物の瑕疵については民法の規定の適用はありません。したがって購入した建物の土台が腐食していた場合は、買受人の責任と費用で修理するしかないのです。結局、こうした競売制度の特殊性について知識がない人は、競売に手を出すなということになるでしょう。

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    本連載は、2015年3月7日刊行の書籍『プロが教える競売不動産の上手な入手法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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    山田 純男,竹本 裕美

    週刊住宅新聞社

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