今回は、一般市民が不動産の競売に参加しやすくなった、これまでの変遷について見ていきます。※本連載は、株式会社ワイズ不動産投資顧問の代表取締役・山田純男氏、弁護士・竹本裕美氏の共著、『プロが教える競売不動産上手な入手法』(週刊住宅新聞社)の中から一部を抜粋し、不動産を格安で手に入れることができる、簡単・安心な競売のノウハウをご紹介していきます。

民事執行法の制定売却方法が変わったことが転機

1979年民事執行法が制定された。これにより不動産競売は一般市民に開かれた制度になった。ただそれは、それ以前において、買受けできる人の資格が、特別にあったという訳ではない。では、何をもって開かれた制度になったのかというと、それは売却の方法である。

 

現在は民事執行法に基づき、競売は実施されているが、それ以前は競売法という法律が、バイブルであった。この旧競売法においては、不動産の売却方法を原則として、競り売りとしていた。買受希望者が一斉に、不動産売却場に集まり、執行吏(現在の執行官)の指示のもと価格を競り上げていき、一番高い価格を付けた人に売却していった。

 

この方法であると、その競売不動産が売却される当日に、必ず不動産売却場に居なければ購入申込みはできない。そこで一部のプロが、不動産売却場の入口で他の一般の人が入場するのを妨害したりすることが、よくあったようだ。仲間うちである程度順繰りに買い受けたり、わざと買受希望を表さず、価格を意図的に下げたりするなど、公正なる競争原理に基づかない売却になってしまいがちだった。

期間入札特別売却の二つを理解しておけば十分

そこで、現在は改善され、従来どおりの競り売りを含め、4種類の売却方法から、裁判所書記官の定める方法による。それらの方法の概要は以下のとおりである。

 

ⅰ.期日入札・・・入札期日に入札をさせた後、その場で開札をする方法

期間入札・・・入札期間内に入札させて、別な開札日に開札を行う方法

競り売り・・・前述のとおり、売却の日に競り上げさせる方法(いわゆるオークション)

特別売却・・・入札または、競り売りをして買受人がいなかった時に限り許される方法(先着順による売却形式がとられるのが専ら)

 

さて、開かれた不動産競売を成し遂げるため、実際には裁判所で現在採用されている売却方法は上記のⅱ期間入札およびⅳ特別売却である。したがって、この二つの方法を理解すれば実践では十分だろう。

本連載は、2015年3月7日刊行の書籍『プロが教える競売不動産の上手な入手法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

プロが教える競売不動産の上手な入手法(改訂第11版)

プロが教える競売不動産の上手な入手法(改訂第11版)

山田 純男,竹本 裕美

週刊住宅新聞社

裁判所の競売不動産には、優良物件が多く眠っています。安くてよい不動産を安全に手に入れるチャンスは、誰にでもあります。本書は、入札手続から落札までを時系列で追い、手続書類の書き方や具体的なケーススタディをふんだん…

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