(※写真はイメージです/PIXTA)

少子高齢化に伴い、遺産を引き継ぐ人がいない「相続人不在」のケースが増加しています。相続人がわからない場合、遺産は誰の手に渡るのでしょうか? また、遺品の取扱いなどはどうなるのでしょうか。民法がどのような手続を定めているのかを、落語を基に解説します。※本連載は、弁護士・森章太氏の著書『落語でわかる「民法」入門』(日本実業出版社)より一部を抜粋・再編集したものです。

「相続人がいない遺産」は、最終的には国庫へ

【相続人のあることが明らかでない場合】

(1)手続の流れ

被相続人が死亡して、相続人のあることが明らかでない場合(例.戸籍上相続人がいない場合、戸籍上の相続人全員が相続放棄をした場合)には、家庭裁判所による相続財産管理人の選任が必要になります(952条)。相続財産管理人は、相続人を捜索したり、相続財産を保全したり、相続債権者などに弁済をしたりします(953条〜958条)。

 

『黄金餅』の場合、西念には身寄り頼りがなく、相続人のあることが明らかでないので、相続財産管理人の選任が必要になります。

 

相続財産管理人が民法に定める手続を行った後、相続人の不存在が確定し、相続財産が残った場合には、特別縁故者に分与する制度(下記の〔2〕)があります。

 

そして、最終的に残った相続財産は国庫に帰属します(959条)。相続放棄などすると直ちに国庫に帰属するわけではなく、上記の手続を経たうえで国庫に帰属します。

 

(2)特別縁故者に対する相続財産の分与

相続人の不存在が確定し、相続財産が残った場合には、特別縁故者が相続人捜索期間の満了後3ヵ月以内に請求することにより、相続財産の全部または一部が分与されます(958条の3)。特別縁故者とは、被相続人と生計を同じくしていた者、療養看護に努めた者、資金援助してきた者などです。親族関係にあるというだけでは、特別縁故者に該当しません。自然人だけでなく、法人も特別縁故者になりえます。

 

分与するかどうか、分与する場合に残った相続財産の全部なのか一部なのかは、家庭裁判所の裁量により決められます。

 

『黄金餅』の場合、金兵衛は西念の隣りに住み、死の直前にあんころ餅を大量に差し入れましたが、この程度では、特別縁故者には該当しません。

 

なお、相続財産の分与を受けた特別縁故者は、遺贈により取得したものとみなされ、相続税が課されます。所得税(一時所得)が課されるのではありません。

 

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【958条の3(特別縁故者に対する相続財産の分与)】

1項 前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。

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