遺灰から「金歯」が…相続人がいない場合、誰の財産になるのか【弁護士が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

少子高齢化に伴い、遺産を引き継ぐ人がいない「相続人不在」のケースが増加しています。相続人がわからない場合、遺産は誰の手に渡るのでしょうか? また、遺品の取扱いなどはどうなるのでしょうか。民法がどのような手続を定めているのかを、落語を基に解説します。※本連載は、弁護士・森章太氏の著書『落語でわかる「民法」入門』(日本実業出版社)より一部を抜粋・再編集したものです。

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「相続人がいない財産」はどうなるのか?落語で解説

『黄金餅(こがねもち)』

(古今亭志ん朝『志ん朝の落語5』〔筑摩書房、平成16年〕144〜178頁 参照)

 

坊主の西念(さいねん)は、毎日、頭陀袋(ずだぶくろ)を胸にかけ江戸中をもらって歩いていたが、風邪がもとで患いついてしまう。長屋の隣りに住んでいた金兵衛が見舞いに行くと、西念はあんころ餅をたくさん食べたいという。あんころ餅を差し入れた後、自宅に戻り、金兵衛が壁の穴から様子をうかがってみると、西念は、胴巻きに入れていた大量の一分銀と二分金をあんころ餅の餅で包み、飲み込み始めた。金に気が残って死にきれないがゆえの奇行であった。西念は苦しんで亡くなってしまう。西念には身寄り頼りがなかった。

 

金兵衛は西念の体内に残された金を独り占めしようと画策する。大家を説得し、亡くなったその日のうちに金兵衛の菩提寺で弔いをして、寺から焼場の利用証をもらう。そして、金兵衛は遺体の入った樽を独りで背負って焼場まで運び、胃袋のあたりを生焼けにしてほしいと頼む。焼いた後、金兵衛は金だけをかき集め、骨を放置し、焼き賃も支払わずに立ち去ってしまう。

 

金兵衛は手に入れた金で目黒で餅屋を始め、繁盛した。

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人が死亡して、相続人のあることが明らかでないときに、民法がどのような手続を定めているのかを、『黄金餅』を例にして解説します。

 

また、現代の日本において高齢者の孤独死が社会問題になっていますが、建物賃借人が死亡した場合、部屋に残された遺品をどのように処分できるのかについても解説します。『黄金餅』の西念の部屋に残された遺品はどのように扱えばよいのでしょうか。

 

さらに、残骨灰についても解説します。『黄金餅』の焼場に放置された西念の骨の中に金がまだ残されていた場合、どのように扱われるのでしょうか。

東京中央総合法律事務所 弁護士

1981年生まれ。横浜市立大学商学部経済学科卒業。税理士法人勤務、税理士試験合格。慶應義塾大学大学院法務研究科卒業。司法試験合格後、弁護士登録。

横浜市立大学での市民向け講座の講師並びに税理士団体及び企業での研修講師を務めている。これまでの講座内容として、「落語で学ぶ民法・刑法」、「映画『男はつらいよ』で学ぶ法律講座」、「平成史で学ぶ法律講座」、「平成の小説で学ぶ法律講座」、「『カラマーゾフの兄弟』で学ぶ法律講座」などがある。

著者紹介

連載落語でわかる「民法」入門

落語でわかる「民法」入門

落語でわかる「民法」入門

森 章太

日本実業出版社

法律書なのに、リアルに面白い! 「落語×民法」で、法律の世界と現実社会がスッキリつながる。 ●21の落語の噺を事例にして、民法を体系的に解説。 ●各話は独立しているので、どこから読んでもOK。 ●なじみのない法律…

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