家賃滞納で「退去になるとき」「ならないとき」の違いは?【弁護士が<落語で>解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

ここでは落語の噺をもとに、不動産賃貸借を学びます。落語『長屋の花見』の家主は、住人たちを追い出すため、賃料滞納や建物損壊を理由として賃貸借契約を解除できるのでしょうか。また、解除が認められた場合において、住人たちが退去しないときに、退去させるにはどのような方法をとればよいのでしょうか。なお、説明をわかりやすくするため、家主は、ただの管理者ではなく所有者であることを前提とします。※本連載は、弁護士・森章太氏の著書『落語でわかる「民法」入門』(日本実業出版社)より一部を抜粋・再編集したものです。

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家賃滞納、建物の破壊…住民は退去させられるのか?

『長屋(ながや)の花見』

(麻生芳伸 編『落語百選春』〔筑摩書房、平成11年〕76〜95頁 参照)

 

長屋の住人たちは、春のある日の朝、家主から呼び出される。家賃の催促だと思い、お互いがどのくらい滞納しているかを確認しあう。入居時に支払った後18年間滞納している者、父の代に支払ったきり滞納している者、汚い長屋だから家賃が発生しないと思っている者、家賃のことを知らず家主から貰えるものだと思っている者など誰一人として家賃を満足に支払っていない。住人たちは退去を求められることも覚悟する。

 

家主の家に行くと、家賃ではなく、向島に花見に行く話であった。家主は、世間から貧乏長屋といわれていて景気が悪く、貧乏神を追い払うために計画した。家主が酒と肴を用意したというので、住人たちは盛り上がるが、酒ではなく番茶を薄めたもの、かまぼこではなく月型に切った大根、玉子焼きではなく沢庵であった。

 

向島への道中、花見に行く格好ではなく猫の死骸を捨てに行くようであるなどと暗い話ばかりするので、家主がもっと明るい話をしろと注意する。すると、昨晩寝ていると天井がいやに明るいと思って見てみたら、きれいなお月さまだったと住人の1人が話し始める。寝たまま月が見えるのかと尋ねられ、ご飯を炊くために雨戸と天井板を剥がして燃やしてしまったので月見ができると答える。

 

向島に着くと、家主は、酒を飲んでいるかのように盛り上がることを住人たちに求める。「家主さん、近々長屋に縁起のいいことがありますぜ」「湯飲みのなかに、酒柱(さかばしら)が立ってます」。

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東京中央総合法律事務所 弁護士

1981年生まれ。横浜市立大学商学部経済学科卒業。税理士法人勤務、税理士試験合格。慶應義塾大学大学院法務研究科卒業。司法試験合格後、弁護士登録。

横浜市立大学での市民向け講座の講師並びに税理士団体及び企業での研修講師を務めている。これまでの講座内容として、「落語で学ぶ民法・刑法」、「映画『男はつらいよ』で学ぶ法律講座」、「平成史で学ぶ法律講座」、「平成の小説で学ぶ法律講座」、「『カラマーゾフの兄弟』で学ぶ法律講座」などがある。

著者紹介

連載落語でわかる「民法」入門

落語でわかる「民法」入門

落語でわかる「民法」入門

森 章太

日本実業出版社

法律書なのに、リアルに面白い! 「落語×民法」で、法律の世界と現実社会がスッキリつながる。 ●21の落語の噺を事例にして、民法を体系的に解説。 ●各話は独立しているので、どこから読んでもOK。 ●なじみのない法律…

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