スモールステップに関する「成功体験」と「注意点」
子どもは何かができるようになりたいと思ったとき、最終目標だけを夢見て、小さなステップには目もくれません。自転車に乗りたいと思ったら、補助輪なしの自転車で、すいすいとどこへでも行けることを最初から望んでしまうのです。
しかし、いきなり補助輪なしの自転車に乗れる子は多くはありません。補助輪付きでペダルをこぐ感覚を習得し、次に片輪だけ外してバランスの練習をし、両輪を外したら親が支えて……と、段階を経ることで、できるようになっていく。そのことを子どもは知らないのです。
そこで、親は小さな目標の提示と、その目標をクリアしたときのご褒美を設定します。ご褒美といっても大げさなものでなくて構いません。「片輪を外して乗れるようになったら、自転車にキラキラシールを貼ろう」とか、「一緒にジュースを飲もうね」などで十分。それでも、目的を達成した子どもにとっては「よし、もっとできるようになろう!」と気合が入るのです。
気をつけなければいけないのは「そんなこともできないの?」「お友達はできるのだから頑張りなさい」と、人と比較したり、できないことを責めるような言い方をしないこと。それから「できるようになったら楽しいよ!」と、最終目標を親の側で口にしないこと。小さな目標にだけ注目してあげるのがコツです。
スキップや縄跳び、フラフープなど、幼児ができるようになりたいと思う遊びはたくさんあります。スキップであれば、まず片足ケンケンを左右交互にできるようにとか、縄跳びなら両足ジャンプや、縄を回すだけの練習などを、遊びのなかに組み入れてあげてください。
小さな成功体験を重ねると、そのたびに自信がつき、子どもの頑張る気持ちはパワーアップします。そして最終目標をクリアしたときに、「補助付きも乗れた、片方の補助輪だけでも乗れた、ママが支えても乗れた、ママが支えないでも乗れた。Aちゃん、たくさんのことができるようになったね!」と、ここまでの成功体験を振り返りながら、努力したことを褒めてあげましょう。
最終目標に向けて、親が焦ってしまい「早く!」「やらないとママ怒るわよ」などとけしかけるのではなく、できそうな小さな目標を設定して「ここまでできそう?」と本人の意志で動けるように導いてあげましょう。
こうしたスモールステップの成功体験を積み上げていくと、何事も「いきなり」できるわけではなく、努力を重ねることで「少しずつ」できるようになっていくことを子どもたちは会得していきます。
スモールステップを理解していると、一人で何かを成し遂げようとするときも、最終結果にこだわり過ぎず、計画的に「ここまでやる」「次はこれをやる」と、自分で考えられるようになっていきます。
山﨑 拓史
学校法人山崎学園理事長
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