訪日外国人向けの「特別なJR乗車券」が存在
日本人が好む街と訪日外国人が好む街とは違うということとともに、もうひとつ私が気付いたのが、多くのゲストがJR線沿線を好むということです。Airbnbを始めた当初はわからなかったのですが、実は訪日外国人向け(大まかにいえば外国の永住権・居所があり、日本に短期滞在に来る人向け)の特別なJR乗車券がその理由だったのです。
ヨーロッパには24カ国の国鉄(またはそれに相当する鉄道)に乗り放題となる〝ユーレイルパス〞というのがありますが、さしずめそれの日本版というようなものでしょう。
このJR乗車券とは〝JAPANRAILPASS(ジャパン・レール・パス)〞というもの。7日間、14日間、21日間の3種類が発売されていて、JRグループの急行・特急をはじめ、(のぞみ・みずほを除く)新幹線まで乗り放題! さらにJRバスやフェリーもOKという圧倒的コストパフォーマンスを誇るしろもの。ジャパン・レール・パスは日本では購入できず、ゲストが訪日する前にJR指定代理店、もしくは代理店にて引換証を購入するシステムになっています。
海外旅行での交通費はできれば安く抑えたいというのは、万国の旅行者共通の思いでしょう。このことを考えれば、ゲストがJRの駅を意識した宿泊先選びをするのは当然のことだと思います。
ただ、それが部屋選びとどう関係するのか――。たとえば、東京の例でいえば、日本人にとっては「中目黒駅徒歩5分」などという部屋なら、周りにおしゃれなお店も多く、渋谷駅や自由が丘駅にも東急東横線で1本ですので、何の問題もありません。ですが、訪日外国人は、たとえばJRの大塚駅や巣鴨駅から徒歩15分の部屋であっても、JR線の駅から徒歩圏ですので、そういった部屋のほうに魅力を感じるのです。その理由は、そう、中目黒駅から渋谷駅までの往復運賃248円が必要なくなるから!
さらに、私たちが海外の鉄道に乗車するときにも感じると思いますが、母国語でない国で、現地の小銭を用意し指定の区間の切符を購入するのは、なかなか大変です。ジャパン・レール・パスがあれば、その手間もストレスもないわけですから、JR沿線が日本観光の拠点になりやすいというのも納得でしょう。
ジャパン・レール・パス以外にも、JRでは、「JREASTPASS」「JRTOKYOWidePass」、またJR以外では「スルッとKANSAI3day」というお得なチケットも発売されています。
ゲストが魅力を感じるお得チケット・パスが、どの沿線で使えるのかを事前にチェックしておくのも、部屋探しの際に考えていただきたいポイントです。
[図表1]ジャパン・レール・パス引換証の価格/2015年9月現在
初心者は、会社や自宅から無理なくいける場所を選ぶ
ここで、私が個人的におすすめする街やエリアを少しだけ紹介しましょう。
東京であれば、最寄り駅が新宿、浅草、渋谷、原宿であればベストです。また、JR線沿線(山手線、中央線、総武線)の駅から徒歩15分以内というのもOK! また最寄り駅がJR以外であっても、JRのターミナル駅へ電車で10分以内であれば、問題ないでしょう。
このように部屋の立地がとても大切なポイントであるのは、いうまでもありません。しかし、よい立地の部屋はおのずと不動産価格、賃料も高くなりますので、初期投資も高額になりがちです。そのうえ、掃除などのメンテナンスに通う必要が出てきますので、自宅から遠い場所というのはビギナー、本業を持っている人には大きな負担になります。
ですから、Airbnbビギナーの人に私がまずおすすめするのは、自宅や会社(本業)から無理なく行ける街&エリアにある部屋でしょう。ゲストに何かあったときに、すぐに駆けつけることができ、部屋の掃除やメンテナンスにストレスなく通えることは、ホストにとって思った以上に重要だと思います。また、多くのゲストに宿泊してもらう、集客率を上げる方法は部屋の立地以外にもたくさんあるのです(詳しくは5章参照)。
部屋の立地で大切なのは、条件のよい街のみに注目するのではなく、自分のお財布と相談しつつ、また掃除やメンテナンスの効率も考慮に入れながら、自分のライフスタイルに合った最適な街・地域を選ぶのがベストといえるでしょう。
Airbnbのサイトで周辺の稼働率をチェック!
最後に自分がAirbnbを始めたいと目ぼしをつけた街や周辺地域について、稼働率をチェックしてみましょう。すでにAirbnbを始めているホストの物件をAirbnbのサイトから閲覧することができます。閲覧方法は下記の【稼働率のチェック方法】を参考にしてください。
【稼働率のチェック方法】
①Airbnbのトップページで「どちらにお出かけですか?」の欄に部屋を借りたいと思っている地域(区市、駅名など)の名前を入力し、右横の「検索」をクリック。
②新しい画面が開かれます。そのページの右側に表示されるマップ内で、部屋を借りたいと考えている地域近くの登録物件(宿泊費の金額が表示されています)をクリック。
③「このリスティングについて」という新しい画面が開かれるので、画面を下のほうにスクロールし、「空室状況」の右側「カレンダーを見る」欄をクリック。
④その部屋の空室状況のカレンダーが表示されます。カレンダー内の数字の背景がグレーに変わっている日は予約が入っている状態です。
空室状況のカレンダーに予約が多数入っている部屋は、つまり稼働率が高い部屋と見ていいでしょう。また、ひとつの地域にリスティングされている部屋が多い地域は、ゲストからの人気があるエリアである可能性も高くなります。リスティングされた部屋の数が多く、さらに予約が多数入っている部屋が多い地域であれば、高い需要があるということがわかると思います。
逆に周辺に物件がない地域は、需要がないエリアである可能性がありますので、注意が必要かもしれません。