2度の造血幹細胞移植を経て、2019年春に復職を果たした私立学校の理科教員である向井健一郎氏の書籍『ボクは、笑顔でできている~多くの人に支えられて、白血病と闘うことができました~』より一部を抜粋・編集し、「白血病」の闘病生活について見ていきます。

本当に辛い…「抗がん剤」治療体験記

白血病の第二段階治療(地固め療法)では避けて通れない「脱毛」の準備について考えてみました。第二段階の治療では、強い抗がん剤を使用するのでいろいろと副作用が出ますが、その一つが「脱毛」です。

 

よくドラマなどで、白血病の患者さんの髪の毛がバサッと抜けて驚くシーンがありますが、実際にも髪の脱毛は突然にやってくるようです。また、それは強い抗がん剤を使用して2週間から遅くても三週間ぐらいで起こるそうです。しかも、個人差はあるようですが、全部の髪の毛がいっぺんに抜けるのではなく、まだらに抜けるようなので、抜ける髪の処理や抜けた後の見え方に患者さんが苦労しているそうです。

 

そこで、先手必勝! 私は「どうせ抜けるなら、その前に坊主にしてしまおう」と考えました。脱毛する前に坊主頭にしておけば、抜ける髪の毛も小さくて処理は簡単だし、まだらに抜けてもほとんどわからないし、一石二鳥です。

 

先手必勝!(画像はイメージです/PIXTA)
先手必勝!(画像はイメージです/PIXTA)

 

さっそく床屋さんで生まれて初めての坊主頭にしてもらいました。ただし、このときは病棟から出られない状況だったので、病院内の床屋さんに病室まで出張で来てもらいました。

 

坊主になった私は1ヵ月の「僧侶の修行体験」か、または「新人のお坊さん」というような格好ですが、自分でも意外と頭の形が良いなと思いました。でも、外出するときのために帽子も一応用意しておきました。

 

ただ、この時期は病室内も温かく、帽子をかぶっていると頭が蒸れるので、自分の病室内では帽子をかぶらないで丸坊主を楽しんでいました。9月末になり、第二段階治療の第三週に入りました。

 

その前日には、血液検査と尿検査が行われました。その結果は、「白血球の値が驚異的な回復」で、正常値に戻ったことで外出禁止令も解かれました。ほかの血球も値は上昇しており、「いったん破壊された造血細胞から、白血病細胞を抑制しつつ新しい血球をつくっているので、薬がよく効いている証拠です」と担当医もおっしゃってくれました。

 

また、この間の抗がん剤による副作用も「多少、指先がしびれるくらい」で、吐き気や嘔吐・むくみ・口内炎・便秘または下痢・発熱などほとんど何も起こっていませんでした。医師からも、「本当に何もないですか? 我慢していませんか?」と聞かれますが、自分でも驚くくらい何もなく順調に経過していました。

 

懸念していた脱毛も思っていたよりスピードは遅かったです。ただし、今回はコレステロールと中性脂肪も検査したのですが、こちらの値は下がりませんでした。

 

これは、ステロイドという薬の「体を活性化させるために、コレステロールを血液に貯める性質がある」影響で、どうしても値が下がりにくくなるのだそうです。おかげで「食事制限」は続行中でした。

 

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次ページ治療が順調に進んだ「三つの理由」

本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『ボクは、笑顔でできている~多くの人に支えられて、白血病と闘うことができました~』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。最新の法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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