米国の大手IT企業群「GAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)」の時価総額は、4社だけで日本の東証1部全体(約2,100社)の約7割を占めると言われています。また、ソニーの時価総額はかつてアップルを上回っていましたが、現在では時価総額で約20倍の差をつけられ、「アップル関連株」と下請け的な見方をされています。今回は、その背景を見ていきます。※本連載は、菊地正俊氏の著書『No.1ストラテジストが教える 米国株投資の儲け方と発想法』(日本実業出版社)より一部を抜粋・再編集したものです。

時価総額上位だったソニーは「アップル関連株」に…

2011年にコンサルタントの長谷川正人氏は『なぜアップルの時価総額はソニーの8倍になったのか?』で、「アップルの時価総額はソニーを2005年に初めて逆転し、2007年に3倍、2010年3月末に時価総額はアップルが2134億ドルとソニーの6〜7倍になった。またアップルの時価総額がIT業界で長らくナンバーワンだったマイクロソフトを抜いたことが話題になった」と書いていましたが、そのときに比べてアップルの時価総額は約9倍に増えたことになります(図表1)。

 

[図表1]ソニーとアップルの時価総額の長期推移

 

当時のソニーの業績は低迷していましたが、その後業績を回復させ、株価は19年ぶりの高値に上昇しましたが、アップルとの時価総額格差は約20倍と拡大しました。アップルが経営不振に陥っていた1990年代半ばには、ソニーがアップルの買収を検討していると噂も出ていたので、いまとは雲泥の差です。

 

ソニーのウォークマンはiPhoneに取って代わられましたが、スマホのカメラのCMOSイメージセンサーで世界シェア5割を握り、ゲームでもプレイステーションでマイクロソフトのXboxと対等に競争しているので、日本企業としては健闘しているといえます。

 

いまやソニーに加えて、村田製作所、TDK、アルプス電気など日本を代表する電子部品企業はアップル関連株と見なされています。

 

世界のITプラットフォームはGAFAが握ってしまったので、日本企業はサプライヤーとして生きる道を歩んでいます。米国のGAFAが世界的な覇権を強めるなか、日本にもGAFAの下請け的な上場企業が増えています。

 

たとえば、2020年に株価が2倍以上に上昇したテラスカイは、日本におけるセールスフォースとアマゾンのAWSのクラウドシステムの導入支援業務を行なっています。マザーズ上場のサーバーワークスも、AWSの導入支援・保守代行の専業企業です。こうした日本の中小型企業の業績を分析すれば、アマゾンの業績動向の予想に役立つでしょう。

 

菊地正俊

みずほ証券エクイティ調査部 チーフ株式ストラテジスト

 

 

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No.1ストラテジストが教える米国株投資の儲け方と発想法

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