前回に引き続き、民泊の流行によって表面化する分譲マンション購入のリスクと、その回避方法について見ていきます。※本連載は、ジャーナリストの榊淳司氏の最新刊『新築マンションは買ってはいけない!!』(洋泉社)の中から一部を抜粋し、新築マンションで「外国人」と共存する不動産投資リスクについて紹介します。

民泊禁止に取り組むマンションも増えているが・・・

にわかに脚光を浴びるAirbnb(民泊)だが、外国人観光客向けの宿泊施設として提供されているマンションの住民はたまらない。

 

ある日、自宅のマンションに帰ると、エントランスロビーがスーツケースを引いた外国人観光客であふれている。あるいは、マンション内のスポーツジムに行くと、外国人観光客にお気に入りのトレーニングマシンを占領されていたり、夜になるとパーティルームで外国人たちが大騒ぎをしているかもしれない。

 

実際、こういったことは一部のマンションですでに起こっている。とくに、都心や湾岸エリアのタワーマンションでは2015年から「民泊問題」が話題になっていた。ただし、そういったマンションのなかには、管理規約を変更して「民泊禁止」にすることで、問題の解決や緩和を図っているケースもある。

 

今後、Airbnbなどを活用して民泊に提供される住宅が大幅に増えるだろう。マンションでは賃貸、分譲にかかわらず、民泊問題でさまざまなトラブルに見舞われることも予想される。

 

とくに外国人が利用者となるケースでは、トラブルの中身が深刻になる場合も少なくないだろう。外国人には、単純に「マナーを守ってください」では通じないケースがほとんどだ。

 

プールや大浴場など、豪華設備がウリのマンションは、民泊用として高いニーズが見込める。宿泊者にとっても、そういった施設を利用できるのだから魅力的に見える。実際、リゾートホテル並みの施設を備えた東京の湾岸エリアの大規模マンションでは、Airbnbに出ている住戸が多い。

 

そういったマンションでは管理組合が積極的な「民泊禁止」に取り組んでいる。管理規約の改正や、オーナーへの中止勧告などだ。

 

ただし、現在の区分所有法をはじめとする日本のマンション関連の法制度では、管理規約に定められた民泊禁止条項に違反したからといって、住戸の明け渡しなどを強制することは難しい。とくに、居住していない外国人に管理規約を守らせるのは難しい。だから今後は、民泊が増えこそすれ、減ることはないと思われる。

 

さらに、民泊に対する規制の緩和がこの動きを助長するだろう。

「外国人が好むマンションを買わない」ことも一つの手

これからの時代、新築分譲マンションを購入すると、「外国人向けのホテル化」という住環境の悪化リスクをも背負わなければならなくなった。

 

ただし、これについては、「外国人が好むマンションを買わない」という回避策もある。

 

外国人は、「わかりやすい」マンションを買いたがる。街でいえば新宿、渋谷、池袋、六本木、赤坂、京都などは、彼らにもある程度知られていてわかりやすい。また湾岸エリアは2020年に東京オリンピックが開催されるので、外国人も理解しやすい。

 

さらに言えば、外見が派手なタワーマンションだ。プールやスポーツジムなどの豪華設備が付いていればなおさらだ。

 

あの荒涼とした東京の湾岸埋め立て地に建つ豪華施設の整ったタワーマンションが、おもに中国系を中心とした外国人に好まれる理由は、彼らにとっても「わかりやすい」からだ。

 

ホテル化するかもしれないリスクを避けたいのなら、そういったマンションを選ばないことも一つの手だ。

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    本連載は、2016年3月18日刊行の書籍『新築マンションは買ってはいけない!!』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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    榊 淳司

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    横浜で発覚したマンション傾斜問題は、氷山の一角にすぎない! 欠陥工事のみならず、人口減少時代を迎え、すでに住宅価格は下がり続けている。 いざ入居してみたら住民が外国人だらけだったり、隣人や管理組合でのトラブル、…

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