人生のリスクに対処する保険は多く存在しますが、すべてのリスクをカバーできるわけではありません。そのため、万一の事態を想定し、緊急時の資金を準備しておくなどの対応が不可欠です。※本記事は、『自然災害に備える!火災・地震保険とお金の本』(自由国民社)より抜粋・再編集したものです。
まずは「緊急予備資金」の準備から
「緊急予備資金」という言葉をご存知でしょうか。
緊急予備資金とは、今後のライフイベントのお金とは別に、すぐに引き出して使えるように準備しておく、緊急資金のことです。ファイナンシャルプランの世界では当たり前のように使われている言葉であり、考え方でもありますが、一般的にはまだ馴染みのない考え方かと思います。
例えば、電化製品が突然壊れた、車が故障した、急遽遠方に出かける旅費が必要になったなど、日常生活で急にお金が必要になった場合などに使うお金として準備しておくものです。つまり、預貯金の中でも、将来のイベントに必要なお金とは別に準備しておくお金です。
その他にも、入院した場合の医療費や自動車事故で車が壊れた場合の修理費用なども、緊急予備資金でカバーすることができるでしょう。つまり、たくさん緊急予備資金を準備できるのであれば、保険はあまり必要ないと考えることができます。
ただし、収入には限りがあり、その中で将来のイベントに向けての貯蓄や運用も考えていかなければならないので、現実には保険に頼る必要があります。
特に家計の担い手が死亡した場合の今後の生活費の補填や、交通事故などで相手を死傷させてしまった場合の賠償金、災害による家屋や家財の破損など、大きな経済的リスクに対しては生命保険や損害保険で準備するのが一般的です。
ところで、緊急予備資金は、どれくらいを目安に準備しておけばよいのでしょうか? 簡易に考える手段として、「生活費の3ヵ月分」とか「半年の収入分」などいろいろな意見はありますが、人それぞれどれくらいが適当かは異なりますし、不測の事態と考えられるすべてに対して準備しておくことも現実的ではないでしょう。そこで、簡易な例を紹介しておきます(図表3)。個々の事情に当てはめて考えてみてください。
これら金額を決めたら、その金額が常に一定であるように保つことが大切です。また、現在その金額が手元になければ、まずは緊急予備資金の準備が貯蓄プランの優先事項になるでしょう。
最近、日本では地震や台風など程度が異なるさまざまな被害が発生しています。保険ですべて解決できた人もいれば、保険で解決できた部分はあったが、その他経済的な不安が残った人もいるでしょう。
緊急予備資金は、「日常」の不測の出費へ備えるお金ですが、災害など「非日常」の時には、当面の生活費になるだけではなく、精神的に安心できる役割も果たします。いつでも安心できる家計をつくるためには、まずは緊急予備資金の準備からはじめましょう。先々のライフイベントの資金準備も大切ですが、何が起こるかわからない今の世の中では、緊急予備資金はあなたの強い味方になるはずです。
石川 英彦
金融デザイン株式会社 代表取締役
高田 晶子
金融デザイン株式会社 取締役
三上 隆太郎
株式会社MKM代表取締役
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金融デザイン株式会社 代表取締役
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
1968年愛知県生まれ。南山大学経営学部卒業後、北米大陸をオートバイで周遊。帰国後、保険代理店の手伝いをしたことで金融の世界を知る。その“奇妙”な世界に疑問を感じ「お金に関する情報形成」「売り手と買い手がハッピーになる金融コンテンツづくり」をミッションとした、株式会社マネーライフナビを設立(1996年)。
FP(ファイナンシャルプランナー)の実務をこなしながら多数の金融コンテンツ制作を手がける。2017年9月に社名を金融デザイン株式会社に変更。インフォグラフィックスやウェブのデザインまで領域を広げる。自社開発の「持ち味マネーカード(お金占い®)」を武器に、個人向けオンラインサービス「お金の知恵アカデミー」を展開中。
【主な著書】
生命保険知って得する数字のカラクリ(技術評論社)
損害保険知って得する数字のカラクリ(技術評論社)
損害保険を見直すならこの一冊(自由国民社)
自然災害に備える!火災・地震保険とお金の本(自由国民社)
【運営サイト】
お金をためる・ふやすで失敗しないための3か条を学ぶ「お金の知恵アカデミー」発信の「1分で身につくお金の知恵」を掲載。
https://okane-chie.com/
著者プロフィール詳細
連載記事一覧
連載自然災害に備える!火災・地震保険とお金の基礎知識
金融デザイン株式会社 取締役
1級ファイナンシャルプラニング技能士
宅地建物取引士
大学卒業後、信託銀行に就職、人事部配属。宅地建物取引主任者の資格を取得し、念願叶い不動産部で働くも、お客様と銀行のハザマで苦悩する。「この人、この不動産買っても大丈夫だろうか」と思っても言えなかった罪悪感がその後私をFPへ導いてくれたのかも。信託銀行退職後、イベント会社、不動産コンサルティング会社を経て、1996年、ファイナンシャルプランナーとして独立。2010年まで女性3人で活動、年間300件の相談業務を行う。
2010年より金融デザイン株式会社(旧株式会社マネーライフナビ)の取締役。長年、個人のお客様の声を直接聞いてきたからこそ作れるコンテンツ作成を、個人向けには失敗しないためのお金の知恵を学ぶオンラインサービス「お金の知恵アカデミー」を展開中。
【主な著書】
「住宅ローン」賢い人はこう借りる! (共著、PHP研究所)
「マイホーム」賢い人はこうして買う! (共著、PHP研究所)
損害保険を見直すならこの一冊(自由国民社)
自然災害に備える!火災・地震保険とお金の本(自由国民社)
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お金をためる・ふやすで失敗しないための3か条を学ぶ「お金の知恵アカデミー」発信の「1分で身につくお金の知恵」を掲載。
https://okane-chie.com/
著者プロフィール詳細
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連載自然災害に備える!火災・地震保険とお金の基礎知識
株式会社MKM 代表取締役
宅地建物取引士
2級ファインシャル・プランニング技能士
管理業務主任者
賃貸不動産経営管理士
1970年千葉県生まれ。住友林業株式会社、家業の建設会社でもある三上板金工事 有限会社、個人向け不動産コンサルティングを行う株式会社さくら事務所、中古 リノベ事業をリノベ不動産として展開する株式会社WAKUWAKU、総合資格学院の宅建講座の宅地建物取引業専属講師を経て、株式会社MKMを立ち上げる。資格予備校にて宅地建物取引士試験講座の宅地建物取引業法専属講師。個人及び法人向け講演および執筆実績多数。
【主な著書】
損害保険を見直すならこの一冊(自由国民社)
自然災害に備える!火災・地震保険とお金の本(自由国民社)
【運営サイト】
宅地建物取引業者向けに中立的な第三者として、取引の安全性を図るエスクローサービスに取り組んでいます。
https://mkm-escrow.com/
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