(※画像はイメージです/PIXTA)

人生のリスクに対処する保険は多く存在しますが、すべてのリスクをカバーできるわけではありません。そのため、万一の事態を想定し、緊急時の資金を準備しておくなどの対応が不可欠です。※本記事は、『自然災害に備える!火災・地震保険とお金の本』(自由国民社)より抜粋・再編集したものです。

まずは「緊急予備資金」の準備から

「緊急予備資金」という言葉をご存知でしょうか。

 

緊急予備資金とは、今後のライフイベントのお金とは別に、すぐに引き出して使えるように準備しておく、緊急資金のことです。ファイナンシャルプランの世界では当たり前のように使われている言葉であり、考え方でもありますが、一般的にはまだ馴染みのない考え方かと思います。

 

例えば、電化製品が突然壊れた、車が故障した、急遽遠方に出かける旅費が必要になったなど、日常生活で急にお金が必要になった場合などに使うお金として準備しておくものです。つまり、預貯金の中でも、将来のイベントに必要なお金とは別に準備しておくお金です。

 

その他にも、入院した場合の医療費や自動車事故で車が壊れた場合の修理費用なども、緊急予備資金でカバーすることができるでしょう。つまり、たくさん緊急予備資金を準備できるのであれば、保険はあまり必要ないと考えることができます。

 

ただし、収入には限りがあり、その中で将来のイベントに向けての貯蓄や運用も考えていかなければならないので、現実には保険に頼る必要があります。

 

特に家計の担い手が死亡した場合の今後の生活費の補填や、交通事故などで相手を死傷させてしまった場合の賠償金、災害による家屋や家財の破損など、大きな経済的リスクに対しては生命保険や損害保険で準備するのが一般的です。

 

[図表2]緊急予備資金と保険との関係

 

ところで、緊急予備資金は、どれくらいを目安に準備しておけばよいのでしょうか? 簡易に考える手段として、「生活費の3ヵ月分」とか「半年の収入分」などいろいろな意見はありますが、人それぞれどれくらいが適当かは異なりますし、不測の事態と考えられるすべてに対して準備しておくことも現実的ではないでしょう。そこで、簡易な例を紹介しておきます(図表3)。個々の事情に当てはめて考えてみてください。

 

[図表3]緊急予備資金の考え方

 

これら金額を決めたら、その金額が常に一定であるように保つことが大切です。また、現在その金額が手元になければ、まずは緊急予備資金の準備が貯蓄プランの優先事項になるでしょう。

 

最近、日本では地震や台風など程度が異なるさまざまな被害が発生しています。保険ですべて解決できた人もいれば、保険で解決できた部分はあったが、その他経済的な不安が残った人もいるでしょう。

 

緊急予備資金は、「日常」の不測の出費へ備えるお金ですが、災害など「非日常」の時には、当面の生活費になるだけではなく、精神的に安心できる役割も果たします。いつでも安心できる家計をつくるためには、まずは緊急予備資金の準備からはじめましょう。先々のライフイベントの資金準備も大切ですが、何が起こるかわからない今の世の中では、緊急予備資金はあなたの強い味方になるはずです。

 

 

石川 英彦

金融デザイン株式会社 代表取締役

高田 晶子

金融デザイン株式会社 取締役

三上 隆太郎
株式会社MKM代表取締役

 

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自然災害に備える!火災・地震保険とお金の本

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石川 英彦,高田 晶子,三上 隆太郎

自由国民社

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