国土交通省から『令和3年版土地白書』が公表されました。そこでコロナ禍の不動産市場の動向などが論じられています。今回はそのなかから、地価や住宅に注目して見ていきます。

コロナ禍でも「マンション価格」は高止まり

何かと比較される、コロナ不況とリーマンショック。国の支援により地価の下落幅は最小限に抑えられている感はありますが、「新設住宅着工数」は81万5000戸ほどで、前年比9.9%の減少。のマンションの新規供給戸数は全国で5万9907戸で、前年比15.2%減となりました。ニーズの減少はもちろん、企業活動が制限される場面が多かったことも影響したと考えられます。

 

また「新築マンションの価格」に注目してみると、首都圏の1㎡あたり単価はコロナ禍直前に100万円超となりましたが、2020年10-12月には89.8万円/㎡まで下落しました。一方、近畿圏は1回目の緊急事態宣言時に大きく下落したものの、70万円前後/㎡まで回復しています。

 

「新築マンションの平均価格」を見ていきます。首都圏ではコロナ禍が本格化する前の2020年1~3月に7000万円まで上昇。その後は下落し、5891万円に。近畿圏では4000万円前後で安定に推移し、直近では4421万円でした。瞬間的な平均価格の高騰はあったものの、首都圏のマンションはここ4年ほど6000万円前後で推移。高止まりの状況が続いています。

 

※画像はイメージです/PIXTA
※画像はイメージです/PIXTA

 

「中古マンションの成約平均価格」は、首都圏で3599万円で前年比4.6%増、近畿圏で2337万円で前年比1.2%増。成約件数は首都圏、近畿圏ともに減少していますが、平成25年以来の上昇基調を維持しています。

 

一方で四半期ごとの賃料変化を指数化した「賃貸マンションの賃貸指数」を見ていくと、コロナ禍以前から緩やかな上昇基調にありましたが、コロナ禍においてもその傾向は変わらず。2020年10-12月に大阪市では124.6、東京都23区では115.6。巣ごもり需要といった言葉が良く聞かれた通り、在宅時間が増えたコロナ禍において、賃貸ニーズは旺盛だったことがうかがえます。

 

コロナ禍において、大都市を中心に地価は下落傾向にありますが、マンションに注目すると一時的な下落はあったものの、高止まりの状態が続いています。

 

厚生労働省『毎月勤労統計調査』によると、2020年4月から2020年2月までの11ヵ月連続で名目賃金は前年比マイナスを記録。2020年の夏・冬の賞与も前年比を下回るなど、会社員世帯の家計は苦しいものでした。

 

それでもマンション価格が下落しないのは、それだけ購入者がいるということ。購入を下支えしているのが、住宅ローンの金利。変動金利であれば1%以下は当たり前で、あまり利子など気にせずに借入ができる状況が続いています。また税制優遇制度も継続。住宅購入を後押ししてくれています。

 

国はこれらの政策を2021年度以降も継続していくとしています。これ以上の金利低下は見込めず、その効果は薄まっている、という指摘もありますが、住宅購入の意欲が低下することにはならないでしょう。大幅な給与減などあれば状況は変わる可能性はありますが、しばらくマンション価格の高止まり状況は続きそうです。

 

 

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