「信用できない工事業者」を判断する基準は?
Q1:営業マンが建物を見て、「耐震補強しないと、大きな地震には耐えられない」「土台が腐っている」と言っているが、信用していいでしょうか?
A1:建築士をはじめとする建築の専門家でもない、一営業マンが建物を見て耐震性、耐久性について分かるはずありません。心配なら、建築の専門家に診てもらいましょう。
Q2:契約前に一式金額のみが書かれた見積書しかありませんが、こんなものでしょうか?
A2:契約前には、「1個いくらの何を何個取りつけるのか」「1m2何円の工事を何m2行うのか」「どこのメーカーの型式何番の器具を取りつけるのか」が詳細に書かれた見積内訳明細書を必ず作成してもらってください。その内容、金額に納得したら契約してください。トラブルになるケースでは、この見積内訳明細書がないケースがほとんどです。
Q3:契約前に建物の細かい調査をしていませんが、大丈夫でしょうか?
A3:リフォームする前には、既存建物がどのような状態であるか確認しなければなりません。工事中に初めて建物の状態が分かってからでは、予定外の補強工事が必要になったとき、追加工事費を請求されかねません。また、建物を細かく調査しないで、建物の耐震性、耐久性についてわかるはずありません。
悪質リフォーム業者は、段階を踏んで迫ってくる
ここでは、実際に建築Gメンの会が調査を行った事件での「業者の手口」について、段階を追って紹介します。
【ステップ1】営業マン訪問の口実
「近くに来たので…○○の点検を…」
「この地区の特別キャンペーン中です」
「近くで工事が始まりご迷惑をお掛けするので挨拶に」
「下水の点検で…(あたかも市町村が関与しているような口ぶり)」
「外壁に亀裂が…、屋根瓦が…」
「TVのアンテナが…」etc
【ステップ2】建物の点検を騙る
話に乗ってしまい、建物の点検をOKすると、居住者が簡単に見ることのできない床下や小屋裏に潜り、次のような口実を見つける、またはねつ造します。彼らは本当の意味での建物診断はしない(できない)のです。
「屋根から雨がにじみ出ている可能性があります」
「床下が湿っていて/結露していて…」
「基礎に亀裂が入っているようです」
「小屋裏の梁のねじれや割れが…」
「野地板が割れています」
「小屋裏に湿気があり…」etc
※これらは実際に有りもしない「ウソ」の説明であることがほとんどです。
【ステップ3】工事の必要性を訴える
「屋根瓦や漆喰にシリコンの施工が必要で…」
「床組み補強のために金物、樹脂の塗布が必要」
「調湿材(除湿材)が必要ですね」
「防蟻工事(白蟻の消毒)をしないと…」
「床下・小屋裏に換気扇、攪拌機を設置しましょう」
「小屋組の補強が必要なので金物を…」
※その建物が本当に必要としている工事の提案はまずしていない、不適切な工事の押し売りがほとんどです。
【ステップ4】見積り・契約に持ち込む
▶その場で見積り、その日に契約を迫る(深夜までの例も)。その価格は異常に高い(通常の3倍)
▶消費者を信用させる材料も整えている⇒クーリングオフのお知らせ、お客様相談センター、お問合せ窓口、リフォームローン、保証書etc
▶大きな値引きを提示する(工事金額には特価・大安売り・大幅値引きなどはありません)
▶工事代金は完成後の一括払いやローン返済のケースがほとんど。
【ステップ5】工事の施工に持ち込む
▶工事は即着工し、工事期間が短い(1日、長くても2~3日程度が一般的)
▶工事中に別の工事が必要と次々と持ち出し次の契約を迫る(ほとんど初日)
▶消費者を安心させる材料を用意⇒工事報告書の提出
▶工事の状態は素人仕事
▶工事終了認定・同意確認書へのサインを求める
▶完了後シールを貼る⇒「いいカモ」の表示
【ステップ6】アフターサービスと称し、再び契約の材料を探しに来る
▶3~6ヵ月経過後に訪問してくる。
※これは、工事後の経過確認・点検と称して次の契約の材料探しが目的です。
大川 照夫
一級建築士
特定非営利活動法人建築Gメンの会 理事長
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