公証人と遺言者に加え証人2人の立ち会いのもと作成される「公正証書遺言」。安全性が高く、相続も円滑に進むとされ、おすすめされることの多い遺言書のスタイルですが、それにも関わらず相続人同士が揉め、せっかくの優遇措置が使えずに高額の相続税が課せられた……そんな事例も。相続・事業承継専門の税理士法人ブライト相続の戸﨑貴之税理士が解説します。

相続で揉めないようにと公正証書遺言を作成

登場人物は、被相続人(父)と相続人が2名、長男(同居・独身)と二男(別居・既婚・持ち家)となります。高齢者である父は、終活を行っていこうと法務局で公正証書遺言を作成しました。

 

相続の際には自分が亡き後も兄弟で揉めないように仲良くあってほしいという思いで、相続税のことも考慮して自分なりに作成を行いました。遺言の内容としては、下記のような内容となります。

 

長男:自宅(165㎡)・貸家A(200㎡)・金融資産1/2

二男:貸家B(200㎡)・金融資産1/2

 

父は完璧だと思っていたが…(※画像はイメージです/PIXTA)
父は完璧だと思っていたが…(※画像はイメージです/PIXTA)

相続発生、相続手続きや相続税申告のために税理士へ

公正証書として遺言を作成したこともあり、父としては相続対策を万全に行ったと自負し、その上で相続が発生しました。

 

遺言執行者として長男を指定しており、相続後の役所の手続きや金融資産や不動産の相続手続き、相続税申告のために税理士を選定して申告を進めることになりました。

 

生前、父の身の回りの面倒や介護を行っていたこともあり、資料の所在も把握しており、遺言もあったため、非常にスムーズに手続きを進めることができました。

 

相続税の申告においては、税理士に資料を提供し、数値がまとまった段階で報告を受けました。

 

二男は別居しており、実家からも遠方のため、それまでは長男が全ての手続きを行っておりました。長男から二男へは最低限の進捗状況も行い、なるべく情報共有を行っていました。

 

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