前回は、複式簿記などの手法に基づいて、帳簿を記載する青色申告が白色申告より節税効果が高い理由を説明しました。今回は、動物病院の経営を円滑にすることができる「自計化」について見ていきます。

自分自身で会計ソフトに入力して記帳を行う「自計化」

基本的な会計や税金の仕組みを理解できるようになったら、ぜひチャレンジしていただき
たいのが「自計化」です。


聞き慣れない言葉かもしれませんが、「自計化」とは「自分自身で、会計ソフトに必要な
データを入力し、基本的な記帳を行うこと」です。


もちろん、税理士に会計事務を依頼していないのであれば、すでに自計化を行っていると
いえますが、顧問税理士がいる方にも、この「自計化」をおすすめしたいのです。このようにいうと、「なんでそのようなことをわざわざしなければならないのだ。本来、税理士がやるべき仕事ではないのか?」と怪訝に思われるかもしれません。


あるいは、「うまいことをいって自分の仕事を減らそうとしているのではないか」と疑う
人もいることでしょう。たしかに院長自らが会計ソフトにデータを入力する作業は、時間も労力もとられ、面倒に思えるかもしれません。

売上数字を正しく把握することで経営判断が迅速に

しかし、自計化には、非常に大きなメリットがあります。


まず、数字を自分自身で入力しているので、院長が売り上げの推移を誰よりも早く、しか
も正しく把握することができます。そのため、たとえば売り上げが落ちているような場合にも、迅速に改善策をとることが可能となります。


また、記帳代行に時間をとられなくなった分、税理士が動物病院の経営に関してよりきめ
細かなアドバイスをできるようになるでしょう。


入力作業などは手間がかかるように思いますが、最近の会計ソフトは非常に使い勝手がよ
く、細かい配慮がなされているので、慣れれば短時間で終えられるはずです。


「仕訳の仕組みがよくわからない」「元帳のつけ方など知らない」というような人でも、ソフトの中にはそれを支援するツールが組み込まれていますので、全く問題なく作業を行えるでしょう。


データのクラウド化が行われている場合には、タブレットやスマートフォンなどのモバイ
ル機器を活用し、いつでもどこでも記帳の入力ができます。また、会計ソフトの多くは、税理士事務所も記帳されたデータに即座にアクセスできるような仕組みになっているので、疑問点があれば、顧問税理士からすぐにアドバイスを得ることもできます。


会計ソフトはさまざまなタイプのものが市販されていますので、その中から自分にとって
使い勝手のよいものを選べばよいでしょう。試用が可能なソフトについては、じっくりと使い込んでから、購入を検討することもできます。

本連載は、2014年8月27日刊行の書籍『どうぶつ病院を繁盛させる50の方法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

どうぶつ病院を繁盛させる50の方法

どうぶつ病院を繁盛させる50の方法

百瀬 弘之

幻冬舎メディアコンサルティング

勤務医の時代はたとえ給料は安くても、独立して動物病院を開業すれば十中八九成功が約束されていた獣医師。 ペットブームの恩恵を受けて市場を拡大し続けてきた獣医師業界ですが、近年の動物病院の増加により飽和状態に。さら…

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