前回は、動物病院の開業に必要な準備とその流れについて取り上げました。今回は、動物病院の開業準備作業のスケジュールについて見ていきます。

諸官庁への届出が必要な書類とは?

開業にあたっては諸官庁に対して以下のように種々の届出を行うことが必要となります。

 

●「診療施設開設届出書」「診療施設構造設備の概要書」「診療施設の見取図」「診療施設の案内図」「診療に従事する獣医師の獣医師免許証の写し」を家畜保健衛生所などに提出する。

●診療施設でエックス線を使用する場合は、「エックス線装置等設置届出書」を提出する。

●法人の場合には「定款」を提出する。

●診療施設に動物を保管する場合、保健所に「動物取扱業届出書」を提出する。

●税務関係官庁に「個人事業開業届出書」「事業開始等の届出書」「青色申告承認申請書」などを提出する。

●人を雇用する場合には「労働保険関係成立届出書」を労働基準監督署に提出する。

開業場所の選定には最低でも1年から2年は必要

開業準備作業の大まかなスケジュールについて触れると、まず、準備期間のほとんどは、物件探し、すなわち不動産選びに時間をとられると思っておいたほうがよいでしょう。「ここしかない!」と心底気に入る場所が見つかるまでには、最低でも1年から2年は必要となるはずです。

 

本連載の第6回で紹介した田園調布動物病院の田向院長も「開業の場所を決めるまでに1年以上かかり、その間、200件近く物件をみました」と述べています。

 

もっとも、物件さえ見つかれば、あとは開業までスムーズに進んでいくはずです。テナントの場合であれば、契約から開業までの期間はおおよそ4、5カ月程度と考えておけばよいでしょう。

 

あくまでも一つの例ですが、まず、テナント契約を結んでから1カ月程度で病院の設計を行い、導入する設備、医療機器などの打ち合わせも業者とはじめます。

 

2カ月目ぐらいから着工し、工事の状況に応じて現場で、院長、設計士、施工管理者と適宜、打ち合わせを行います。また、設備機器の設置などについても確認します。

 

3カ月目には工事が竣功し、設計士、施工管理者が工事内容を確認し、院長が立ち会って、要望があれば細かなところを調整していきます。

 

4カ月目には、建物が院長に引き渡されます。その後、院長は内覧会などを経て、開業の日を迎えることになります。工事費は、1坪30万円台後半から80万円台程の幅があるなど、個々のテナントの状況によって大きく異なります。

 

ちなみに、本連載の第7回で触れた、らく動物病院の福田貴英院長のブログでは、開業時の苦労話なども掲載されています。病院が完成するまでの様子を写真入りで綴っていますので、みなさんが開業準備を行う際の参考にしてみてはいかがでしょうか。

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    本連載は、2014年8月27日刊行の書籍『どうぶつ病院を繁盛させる50の方法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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    百瀬 弘之

    幻冬舎メディアコンサルティング

    勤務医の時代はたとえ給料は安くても、独立して動物病院を開業すれば十中八九成功が約束されていた獣医師。 ペットブームの恩恵を受けて市場を拡大し続けてきた獣医師業界ですが、近年の動物病院の増加により飽和状態に。さら…

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