細かい条件がいくつもある住宅ローン控除の適用
病院を自宅と兼用することにより住宅ローンを利用する方法について本連載の第19回で触れました。実際に住宅ローンを使った場合には、いわゆる住宅ローン控除(正式名称は「住宅借入金等特別控除」)も忘れずに活用しましょう。
住宅ローン控除とは、住宅を購入、新築または増改築などをする際に住宅ローンを利用した場合、所得税から一定額が控除される制度です。
その適用を受けることにより、開業時の税負担を大きく軽減することが可能となります。もっとも、住宅ローン控除には非常に細かい条件がいくつもあります。それが一つでも満たされていないと控除を受けることができないので注意が必要です。
以下に、その具体的な条件を列挙しましたのでご確認ください。
①新築または取得の日から6カ月以内に居住の用に供し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること。
(注)居住者が死亡した日の属する年または家屋が災害により居住の用に供することができなくなった日の属する年にあっては、これらの日まで引き続き住んでいること(なお、居住の用に供する住宅を二つ以上所有する場合には、主として居住の用に供する一つの住宅に限られる)。
②特別控除を受ける年分の合計所得金額が、3000万円以下であること。
③新築または取得をした住宅の「床面積」が50平方メートル以上であり、「床面積」の2分の1以上の部分がもっぱら自己の居住の用に供するものであること。
<「床面積」の判断基準>
●登記簿に表示されている床面積により判断。
●マンションの場合は、階段や通路など共同で使用している部分については床面積に含めず、登記簿上の専有部分の床面積で判断。
●店舗や事務所などと併用になっている住宅の場合は、店舗や事務所などの部分も含めた建物全体の床面積によって判断。
●夫婦や親子などで共有する住宅の場合は、床面積に共有持分を乗じて判断するのではなく、ほかの人の共有持分を含めた建物全体の床面積によって判断。しかし、マンションのように建物の一部を区分所有している住宅の場合は、その区分所有する区画の床面積によって判断する。
親族や知人からの借入金は基本的に対象外
④10年以上にわたり分割して返済する方法になっている新築または取得のための一定の借入金または債務(住宅とともに取得するその住宅の敷地の用に供される土地などの取得のための借入金などを含む)があること。
一定の借入金または債務とは、たとえば銀行などの金融機関、独立行政法人住宅金融支援機構、勤務先などからの借入金や独立行政法人都市再生機構、地方住宅供給公社、建設業者などに対する債務のこと。しかし、勤務先からの借入金の場合には、無利子または1%に満たない利率による借入金はこの特別控除の対象となる借入金には該当しない。また、親族や知人からの借入金はすべて、この特別控除の対象となる借入金には該当しない。
⑤居住の用に供した年とその前後の2年ずつの5年間に、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例など(租税特別措置法31条の3、35条、36条の2、36条の5もしくは37条の5または旧租税特別措置法36条の2、36条の5もしくは37条の9の2)の適用を受けていないこと。
なお、住宅ローン控除は現時点では、平成29年12月31日までに住宅に入居した人が対象となっています(今後、さらに延長される可能性はあります)。