住宅ローンの繰り上げ返済で無借金生活に
住宅ローンの残りをまず返済する
金融広報中央委員会の金融リテラシー調査(2019年)によれば、60代で住宅ローンの返済が残っている人が約11.7%、70代では3.8%もいます。こうした借金が残っていると、老後破綻につながる恐れが大きいといえます。
60歳から先は、思っている以上に収入が減っていきます。定年後に再雇用で働いたとしても給料は激減。再雇用が終われば年金だけの生活になり、やがて企業年金なども給付期間が終わります。それなのに、まだ住宅ローンを抱えていて、ついに自己破産という例も見受けられます。
住宅を購入するときは、無理な返済計画を立てがちです。70歳まで続く住宅ローンを組み、退職金で完済すればいいと思っていたのに、予想より退職金がすくなくて返しきれないこともあります。
お金がないんだから、しかたない? そんなことをいっていたら、本当に老後破綻になりかねません。
ここが踏ん張りどころです。できるだけローンの繰上げ返済をして、早めに借金のない生活にもっていきましょう。そのためにも、可能なかぎり長く働くことがいちばんの策です。
生活レベルの修正が大切
働くと同時に、生活の見直しもしていきましょう。なかでも支出の見直しは大事です。定年後は大きな収入やボーナスがありません。定期的な収入は年金になります。
65歳で仕事をやめたとしても、体力的には現役時代と同じくらい元気です。やりたいこともたくさんあるでしょう。しかし、生活まで現役時代と同レベルにしていたら、たちまち貯蓄が底をついてしまいます。
この点は、しっかり頭に入れておいてください。そのときになって一気に支出を減らすことはひじょうに難しいので、じょじょに準備しておきたいものです。
そのためには、支出の中身を把握することが重要になってきます。
毎月や年間の支出を「見える化」すると、意外なところにお金をつぎ込んでいた、ムダがあったと気がつくはずです。それを見つけ、削減目標を決めてみましょう。とくに大きな支出の削減は、節約効果が上がります。