(※写真はイメージです/PIXTA)

相続時に「不動産」が原因で揉めるケースは多く、それがきっかけで家族の仲が悪くなることもあります。今回はその理由と解決策を、事例を使って見ていきます。※本連載は、海老原佐江子氏の著書『家族に迷惑をかけたくないあなたが認知症になる前に準備しておきたいこと』(WAVE出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

法律上、相続人が最低限受け取れる金額が「遺留分」

このような場合、もし、Aさんが「自宅不動産は長男Bに相続させる。預貯金は長女Cに相続させる」という遺言を残しておけば、トラブルを防げたかもしれません。

 

ただし、遺言書を作成するときには、必ず配分を考えておくようにしてください。そうしないと、死後、相続人の間に争いを巻き起こすことになってしまいます。

 

亡くなった人の配偶者、子ども、親には、遺産のうち一定の割合に相当する金額を支払うよう、遺産を譲り受けた人に対して請求する権利があります。これを「遺留分侵害額請求権」といいます。その割合(遺留分)は次の表のとおりです。

 

 

遺留分侵害額請求権のある人は、亡くなった人の遺産の評価額に、この割合と法定相続分をかけて算出された金額をもらう権利があります。ただし、亡くなった人の兄弟姉妹には遺留分はありません。

 

先ほどの事例で、Aさんが「自宅不動産は長男Bに相続させる、預貯金は長女Cに相続させる」という遺言を残していたとしましょう。

 

長女Cの遺留分は4分の1(遺留分の合計1/2×法定相続分1/2)です。Aさんの遺産の総額は3000万円なので、長女Cが遺留分として取得する金額は750万円です。

 

 

長女Cは遺言で預貯金1000万円を相続するとされており、すでに750万円を上回っているので、長女Cがこれ以上の請求をすることはできません。

 

海老原 佐江子

城南かがやき法律事務所 弁護士

 

 

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家族に迷惑をかけたくないあなたが認知症になる前に準備しておきたいこと

家族に迷惑をかけたくないあなたが認知症になる前に準備しておきたいこと

海老原 佐江子

WAVE出版

2025年には高齢者の約5人に1人がなるといわれるとおり、誰にでもリスクがある認知症。認知症になると、「預金が引き出せなくなる」「遺言を残せなくなる」「介護施設の入居契約ができなくなる」等、社会生活で大きな制限が出て…

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